米国の企業はチップのとりこになっている。レストランやバーは従業員の賃金を補うため、チップにずっと頼ってきた。だがチップの要求は飲食店以外の多くの業種にも広がっている。ジューススタンドや家電修理店、さらには園芸店といったサービス業でもチップを求めるようになっている。「米国経済はかつてないほどチップに依存している」。ジョージ・ワシントン大学の経済学者、シェエラザード・レーマン教授(国際金融論)はこう話す。「チップの要求はとどまる所を知らず、米国企業が従業員に給与を支払う責任を顧客に押し付けているとの見方が強まっている」初めてチップを求めるようになった企業の中には、競争の激しい雇用市場で労働者を引き留めるとともに、低価格を維持するためにこの慣行を採り入れたところもある。チップを要求することで、従業員の賃金を上げずに収入を上げることができる。