どうやったらパートナーと良い関係を築けるのか、と悩んでいる人にぜひ読んでほしいのが、『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』(クルベウ著 藤田麗子訳)だ。読者からは、「1ページ目から涙が出た」「すべての文章が刺さった」「大切な人にプレゼントしたい」との感想が多数寄せられている。仕事、恋愛、人間関係など、「自分らしく、豊かに生きるためのメソッド」が詰まった本書。今回は、特別に日本版の内容から、一部抜粋、編集して紹介する。(初出:2022年1月29日)

好きではなかった人が「いちばん大切な人」になった理由とは【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock

「この人に人生を賭けよう」と思った瞬間

男はある女を心から愛していた。
女はその男のことを好きではなかった。

男の外見も好みではなかったし
これと言った特別な長所があるわけでもなかった。

男は女につらいことがあるたびに、
いつもそばで話を聴いてやった。

そして、5年の時が流れ、ふたりは結婚することになった。
女に聞いた。なぜ彼を選んだのか。

するとこう言った。

5年間ずっとつらいときにそばにいてくれたら、
誰でもこう思うんじゃないでしょうか?
私は本当に愛されているんだな、
この先ここまで私を愛してくれる人に出会うのは
難しいだろうな、って。
ある瞬間から、彼は私にとって
いちばん大切な人になったんです。

恋をして、時間が経てば、
どんな女性もこう感じると思います。

自分の人生を賭けたい男性は
私を心から愛してくれる人だ、と。

恋愛中であっても
交際期間の長さにかかわらず、
相手が自分を本当に愛しているのかどうか
実感できないときがあります。

私を愛していると言いながら、
あまりにも無関心に見えたり
私が話した内容をしょっちゅう忘れたり
具合が悪いと言っても本気で心配してくれなかったり、私が好きなものすら覚えていなかったりするとき。

こういうことが続くと、女性はこんな気持ちになるんです。
私を愛してるって言ったのに、
どうして私は愛されている感じがしないんだろう?
私がいけないのかな……?

おかしいですよね。
たしかに愛してると言われたのに
まったく愛されていると感じられないなんて。
愛という感情が相手にすっかり伝わるまでには
時間が必要みたいです。

一目惚れの恋もあると思いますが、
この人の愛に今後の人生を賭けてもいいのか
見極める時間が必要だと思います。

判断する基準は、
体調が悪いときに気遣ってくれるか。
私の好きなことを尊重してくれるか。
私が話すことをいつも軽く考えていないか。
私に変わらない関心を持ち続けてくれているか、など。

私を本当に愛しているのかな。
そんな疑問が愛されているという確信に変わる人がいる一方、疑問を抱いたまま交際を続けて、結局は別れることになる人もいると思います。

相手がどんな人なのかは時間をかけて見極めるべきですが、
この人は私にとって、
疑問を確信に変えてくれた最初で最後の人です。

それで私は、この人にこれからの人生を賭けても
よさそうだと思ったんです。