ニジェールの軍事クーデター、ロシアに戦略的優位性もPhoto:Anadolu Agency/gettyimages

【ナイロビ】ニジェールで今週発生した軍事クーデターは、アフリカ西部に拡大するイスラム過激派と戦うという米国の戦略全体を混乱させるとともに、この地域での影響力を拡大しようとしているロシアに戦略的優位をもたらす可能性がある。

 地域の安全保障に対する米国のアプローチの中核は、国際テロ組織アルカイダや過激派組織「イスラム国(IS)」に対抗するため、米軍部隊を派遣して現地の精鋭部隊を訓練することだ。過激派の暴力的なイデオロギーは過去6年間、中東と南アジアからサハラ以南のサヘルへと急速に広がってきた。

 ニジェール軍の一部部隊が26日、モハメド・バズム大統領を追放したことで、米国は、軍事政権への安全保障援助のほとんどを禁じる国内法に縛られた状態となっている。ニジェール軍が27日にクーデターを支持すると発表したことから、米政府内では、クーデター指導者らが米国と袂を分かった後、過激派の伸長を受け、ロシアの傭兵に反撃の手助けをしてもらう可能性があると懸念している。