インフレ・円安の時代に入った今、資産を預金だけで持つことはリスクがあり、おすすめできない。「先行き不透明な時代」には、これまで投資に無縁だった人も資産を守り・育てるために資産運用を始める必要がある。『このままではあなたの現金の価値が下がる! インフレ・円安からお金を守る最強の投資』(朝倉智也著、ダイヤモンド社)が発売された。本書は、投信業界のご意見番が新しい時代を乗り切る「究極の運用法」をアドバイスするお金の入門書。大切なお金を守り増やすためには、どうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。
アクティブファンドを
ポートフォリオにどう組み入れたらいいか
ここまでにご紹介したサテライトのファンドは、すべてを活用する必要はありません。
世界株ファンドを積極運用のコアに置きながら、「もう少し中国株を組み入れたい」「国内株は小型株だけ投資しておきたい」といった、みなさんそれぞれの考え方に合わせて組み合わせていただければと思います。
とは言え、「自由に組み合わせてもいい」と言われても具体的なイメージがわきにくいかもしれません。そこでここからは、積極運用のポートフォリオをいくつかご紹介していきたいと思います。
基本となるのは、世界株式インデックスファンド「雪だるま」1本での運用です。
これを「ポートフォリオ:A」とします(下図)。このポートフォリオの10年のトータルリターンは年率15.43%、信託報酬は0.11%です。
「雪だるま」にサテライトファンドを
組み合わせたポートフォリオ:B-①
このコアファンドの「雪だるま」に2本のサテライトファンドを組み合わせ、構成比を「世界株式インデックス80%、国内小型株式10%、新興国株式10%」としたのが下図の「ポートフォリオ:B-①」です。
具体的には「雪だるま」80%、「jnext」10%、「JPMアジア株・アクティブ・オープン」10%を組み合わせています。するとポートフォリオ全体の米国株の割合が45%程度まで低下し、小型株を含む日本株の割合は14.5%まで高まります。「ポートフォリオ:A」では手薄だった中国が5.4%となり、新興国への投資割合も高まりました。
このポートフォリオの10年のトータルリターンは年率15.53%、信託報酬は0.42%です。「ポートフォリオ:A」と「ポートフォリオ:B-①」のトータルリターンは0.1%しか差がありませんが、これは過去10年、新興国株式が不調であったことが背景にあります。
今後の新興国の成長に期待するのであれば、このようなポートフォリオを組んでみるのも選択肢の1つです。
(※本稿は『インフレ・円安からお金を守る最強の投資』の一部を抜粋・編集したものです)
SBIグローバルアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、1995年米国イリノイ大学経営学修士号(MBA)取得。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立、および上場準備を担当。1998年モーニングスター株式会社(現 SBIグローバルアセットマネジメント株式会社)設立に参画し、以来、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。SBIホールディングス株式会社 取締役副社長を兼務し、SBIグループ全体の資産運用事業を管掌する。主な著書に『全面改訂 投資信託選びでいちばん知りたいこと』『改訂新版 ETFはこの7本を買いなさい』『一生モノのファイナンス入門』(以上、ダイヤモンド社)、『「iDeCo」で自分年金をつくる』(祥伝社新書)、『お金の未来年表』(SB新書)などがある。