世界中の政府や企業は何十年も前から、金利コストがインフレに連動して上下する債務を数兆ドル積み上げてきた。しかし、物価が停滞していたときは安価だった資金調達手段が、急速に高コスト化している。インフレに伴うコストの増加は、10年以上にわたる世界的な金融緩和の終息で生じた広範な課題を反映している。超低金利や時にはマイナス金利で巨額を借り入れていた時代は終わった。今年生じた米地方銀行の危機や商業用不動産価格の下落を受け、投資家は金融の脆弱(ぜいじゃく)性を警戒している。中央銀行が物価圧力を抑えるために主要金利を引き上げたため、政府や企業、消費者にとってあらゆる借り入れコストが急上昇している。インフレ連動債の金利も急伸したが、痛みの原因はそれだけではない。