ダイヤモンド社の書籍編集局では、中途採用で書籍編集の経験者を募集しています。
そこで、近年ダイヤモンド社に転職してきた3人の書籍編集者たちが、自らの転職動機、現在の職場の環境や雰囲気、一緒に働きたい人材像などについてざっくばらんに語り合いました。ホンネ炸裂のトークをお読みいただき、我こそは!と思われた方は、ぜひご応募ください。
詳しい募集要項はダイヤモンド社の採用情報ページおよび「マイナビ転職」をご覧ください。応募〆切は2023年9月11日(月)です。
また、本記事以外に、現役の編集長たちが職場や求める人材像について語る座談会記事もこちらからお読みいただけます。[撮影:今野良介、構成:今泉憲志]

ダイヤモンド社は書籍編集者を募集中。近年、ダイヤモンド社に転職してきた書籍編集者たち(左から、斉藤、田中、淡路)

なぜ、ダイヤモンド社に転職したのか

──皆さんは近年他の出版社からダイヤモンド社に転職してこられたわけですが、まずは自己紹介も兼ねて転職の理由を話してもらえますか。

斉藤俊太朗(以下、斉藤):私は2019年秋に入社したので社歴は4年ほどです。この間に本を11冊つくってきました。もともとは新卒で別の出版社に入り、営業や制作を経てから編集者として5~6年働いていました。30歳になる頃、自分の編集スキルをもっと伸ばしたいと思っていたときダイヤモンド社の求人があったんです。すごく売れている本が続々と出ていることはもちろん知っていたので、それを生み出すノウハウがこの会社にはあるんだろう、と。自分もそういう環境に身を置けば、刺激も多く、編集のノウハウを吸収できるはずだと思って転職を決めたという感じです。

ダイヤモンド社書籍編集局第1編集部・斉藤俊太朗斉藤俊太朗(さいとう・しゅんたろう)
書籍編集局第1編集部

大学卒業後、他の出版社を経て2019年11月にダイヤモンド社入社。担当書籍は『2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ』『医者が教えるダイエット最強の教科書』『武器としての組織心理学』など。趣味はスポーツ観戦。

田中怜子(以下、田中):私は2019年4月に入社したので、いま5年目に入ったところです。基本はビジネス書を編集していますが、22年に初めて『メイクがなんとなく変なので友達の美容部員にコツを全部聞いてみた』という女性実用書を担当しました。そういう挑戦ができたのもこの会社の環境のおかげかなと思っています。

 ダイヤモンド社に転職した理由は、編集者としてチャレンジしたかったというのが大きいですね。前の会社では、30代半ばで編集長に抜擢してもらって、人間関係も良かったしすごく恵まれていました。ただ、このままだと将来的に戦略策定とかの仕事が増えて、だんだん編集の仕事から離れていくな、と思ったんですよね。もちろんそれは当然ありえるキャリアだと思います。ただ、自分としてはまだまだ編集者として全然力がないと思っていて、もっと自分なりに編集を極めたい、編集スキルを上げたい、ジャンルの幅も広げたい、ヒットももっと出したいという気持ちがありました。だから、かなりリスクはあるかなと思いながらも、ダイヤモンド社でチャレンジしようと決めて転職しました。

 リスクがあると思ったのは、「ダイヤモンド社は厳しい」というイメージを抱いていたからです。ベストセラー編集者がいっぱいいて、プロフェッショナルとして言い訳ができない環境なんだろうなと。正直やっていけるかな……と思っていました。

 でも今は本当に転職してよかったなと実感しています。いまの私は過去の延長上で仕事をしている感じがまったくなくて、編集者としての仕事のやり方や本に対する考え方がガラリと変わったなと思っています。

淡路勇介(以下、淡路):僕のキャリアはちょっと異色かもしれません。大学卒業後に某家具会社で接客業をしていましたが、本をつくりたいという思いが募り、思い切って転職したんです。出版社の広報やフリーライターを経て、編集者として二つの出版社を経験しました。そして2022年3月にダイヤモンド社に入って現在に至ります。

 転職してきた理由は三つあります。一つめは、同じ年齢の編集者の友人が5年ほど前にダイヤモンド社に入ったことです。それまでもヒットを出していた編集者だったんですが、ダイヤモンド社に入ったら、あっという間に超ヒットメーカーになっちゃったんです。「なんだよ、すげえ!」って(笑)。それで「いいな、僕も行こうかな」と。小学校のとき、友だちが塾に行ったら急に成績が伸びたのを知って、僕も行きたいと思ったのと似てる感じです。ダイヤモンド社に行ったら僕もベストセラーをつくれるんじゃないかと。

 二つめの理由は「書籍オンライン」の存在ですね。これまでの会社にはオンラインメディアがなくて、書籍をつくった後の販促で苦労していたんです。他社のオンラインメディアに献本して、こちらで記事をつくってというようなことやっていました。でもやっぱりそれだとタイミングや本数に制約があります。自社メディアをいろいろと活用できるというのは凄く魅力的だなと思って。

 三つめの理由は、それこそ田中さんが担当された『独学大全』に圧倒されたからです。この本を見たときすごいエネルギーを感じて。こんな本、他社ではなかなかつくれないと思ったんです。出版社って刊行点数のノルマがあるところも多いですから。僕はその頃、編集者として少し悩んでいたんです。5~6年編集の経験を積んでいたんですが、NetflixやAmazonPrimeで安くてめちゃくちゃ充実したコンテンツが増えているなか、「本をお金払って買う」ハードルがとてつもなく高くなっていると感じていて。今までと同じつくり方をしていたらダメだと。Netflixに負けない価値のある本をつくるために、編集者としてのレベルを上げないとまずいぞっていう危機感があったんです。そのとき『独学大全』に出会って、やっぱりこれくらいのものをつくらなきゃなと。それでこの本を机の上に置いて、自分の今の編集の苦しみなんてこれをつくるのに比べたらまだまだだと思いながら仕事していました(笑)。買って手元に置くことに意味があり、物体として存在感もあり、エネルギーに満ちた本をつくりたいなと思い、それを刊行しているダイヤモンド社に行こうと。

入社前と入社後のギャップ

──では、実際に転職してきてからはどうでした? 職場の環境や雰囲気について感じている点を語ってもらえますか。また、入る前に抱いていたイメージがありますよね? 鬼みたいな編集長がいてビシビシしごかれるんじゃないかとか(笑)。入社前と入社後に感じたギャップがあればぜひ教えてください。

斉藤:そうですね。私はダイヤに来てよかったなとまずは思っています。入社以来いろいろな本をつくってきましたけど、この会社だからこそできたなっていう本がたくさんあるので。入社後の多くの期間がコロナだったこともあり、職場で同僚とリアルで話し合える機会ってそんなに多くなかったんです。でも、オンラインの企画会議とかで他の編集者の話を聞いていると、本当に細部の細部までこだわって本をつくっているのがわかって、自分もそういう編集者になりたいという刺激をもらえました。モチベーションが高い人が多いから、その環境にいられるっていうのは本当に良かった。最初からそれを期待して入ったので、実現できたという満足感があります。

『2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ』

 入社前に抱いていた職場のイメージは、私自身は特に厳しいんだろうとかは想像していなくて。田中さんはすごく厳しいんだろうって思っていたようですが(笑)。淡路さんと一緒で、少し前に入社していた知り合いがいたこともあって、会社の雰囲気を聞いたりして、魅力的な職場に感じていました。

田中:私は、入る前は超個人主義の会社なんだろうと思っていたんです。個々のプロフェッショナルがいて、個々の思いで企画を立て、徹底的につくり込んだ本を個々に出しているんだろうと。プロとして成果を出す場だから、逆に企画に駄目出しとかもされないんだろうと。ところが入社して一番意外だったのは、誤解を恐れずに言うと駄目出しがけっこうあったことです。とくにオリジナリティがないという指摘をされました。これまではベストセラー著者さんの企画が取れると「ドヤっ!」ていう感じで会議に出して、上司にも誉められていたんですが、ダイヤモンド社では「既に売れている著者さんの新しい本だから、田中さんらしいオリジナリティが何か欲しいよね」といったことをすごく言われる。個人のプロフェッショナルとして入ったイメージだったのに、自分の企画が編集会議で部メンバー全員に揉まれるんだっていうのがまず意外でした。

ダイヤモンド社書籍編集局第2編集部副編集長・田中怜子田中怜子(たなか・れいこ)
書籍編集局第2編集部 副編集長

大学卒業後、他の出版社を経て2019年4月にダイヤモンド社入社。22年10月より現職。担当書籍は『独学大全』『発達障害サバイバルガイド』『メイクがなんとなく変なので友達の美容部員にコツを全部聞いてみた』。趣味はイタリア一人旅(最近できてない!)といいカフェの探求。

 その一方で、ノウハウをシェアするカルチャーがあるんです。本づくりのプロセスでは、上司はもちろん、周りの編集者が「こうしたらいいんじゃない?」「自分はこれがいいと思う」とアドバイスをくれますし、売れた本ができると、各々がその成功体験を勉強会などでシェアします。デスク、編集部、局全体のそれぞれで知識の共有がこんなにあるんだと驚きました。

淡路:たしかに僕も、もっと個人事業主の集まりみたいなイメージをもってましたね。練習方法とか公開しませんよ、秘密ですよ、みんなライバルだから、みたいな(笑)。

田中:そう、ライバルだから指摘もされないと思っていたから、そこが一番意外でした。

淡路:僕が入ってよかったなと思うのは、それまで担当書の最高部数が12万部だったのが、ダイヤモンド社で最初に出した『頭のいい人が話す前に考えていること』が20万部を突破してキャリアハイを出せたっていうこと。やっぱり素直に嬉しいです。

 あと、田中さんと似てるんですけど、ダイヤモンド社では企画会議でかなり揉む点に驚きました。それまで僕は企画書はペラ一枚で、タイトル・著者プロフィール・簡単な企画概要くらいで通していたんです。でも、ダイヤモンド社では企画書段階でしっかり詰める。そこが全然違いました。ちなみに、企画のアイデア自体は「いいね」って言ってもらえるんです。面白いと。編集者の熱意があれば、ジャンルを問わずなんでもつくらせてくれる。でも、このままじゃ足りない、ちゃんと読者に届けるためにはここまで考えるべきだ、と求められるレベルがめちゃ高い。

 これまでの僕は、企画をそのレベルに高める方法がよくわかっておらず、何となく走っていたんです。でも、ダイヤに入ってから1年数ヶ月、毎週企画会議に出て、それこそ駄目出しを含めたいろいろなフィードバックを経験するなかで、その感覚が理解できてきた気がします。それは編集者としてすごく大事なことだと感じていて、担当書が売れたことはもちろん嬉しいんですけど、それ以上に得たものがあったなと思っているところです。

 ダイヤモンド社に入る前は、この企画は駄目って最初から言われるのかと思ってました。でも企画は全然いいって言われるんですよ。でも、そこから先のコンセプトの磨き上げや、構成案をつくっていくのが大変で……。そこのギャップがありましたね。

田中:私も「この著者さん、いいよね」って言われることは多いんですが、そこから先が長い(笑)。

斉藤:私のいる第1編集部では、企画書の1枚目に入るタイトル、サブタイトル、キャッチコピー、企画趣旨という部分にすごく時間をかけます。まだ素材がない段階からそこをしっかり固めておこうと。つまりコンセプトをちゃんとブラッシュアップして、最後までそのコンセプトでいけるように詰めるんです、最初の企画の段階で。

淡路:企画書段階では、タイトルを「(仮)」にすることってあるじゃないですか。僕はダイヤに来るまでは、本当に(仮)で本をつくり始めていました。とりあえずのタイトル案で企画を通して、正式タイトルはあとから考えればいいやみたいな。それじゃ駄目なんですよね。企画書を通す段階で、そのまま出版していいレベルまでタイトルを考え抜くことが大事だと今は思っています。

田中:そうですね。だから私は他の編集者の方の企画書を保存して、自分の企画書作成のときに参考にするようにしています。やっぱりいい企画書から生まれた本はアウトプットも良くなっていくことが多いから。本づくりは上流工程が何より大事だということが、ダイヤモンド社に入って少しずつ体感できるようになりました。

淡路:僕は『頭のいい人が話す前に考えていること』の企画を正式に通すのに、入社してから3ヶ月ぐらいかかったんですよね。直属の副編集長と相談を重ねて、よしこれで行こうってなるまでにめっちゃ時間を要しました。本当はもっと早くいっぱい企画を出して「仕事してます感」を出したかったんですけどそれが許されない(笑)。でも、そこまでブラッシュアップしたからこそ、タイトルも帯コピーもほとんど当初のままで変わっていないんです。やっぱりそこまでやることが大事なんだと理解できました。

斉藤:最初の企画書でがっちり固まっていると、その後ブレないというか、結局、後の作業もスムーズにいくんだと思います。どういう方針で編集するかとか、デザインをどうするか、帯コピーどうするかというのも、たぶん最初のコンセプトにかかっている。コンセプトが最重要だというのはどの編集部も同じだと思います。それを磨くプロセスが編集部や編集長によって少し違うくらいで。

本の編集にかける時間

──ちなみに皆さんは、1冊目の担当書を出すまでにどのくらいかかりましたか?

田中:私は8ヶ月くらいでしょうか。斉藤さんも淡路さんも1年くらいかかったんですよね。やっぱり転職してきた人って、すぐに売れる本を出せって言われるんじゃないかと不安ですよね。

淡路:あぁ、それはあったかも。

ダイヤモンド社書籍編集局第3編集部・淡路勇介淡路勇介(あわじ・ゆうすけ)
書籍編集局第3編集部

大学卒業後、家具インテリア業界、他の出版社などを経て2022年3月にダイヤモンド社入社。担当書籍は『頭のいい人が話す前に考えていること』。年に一度は瓶に入ったプリンが食べたい。

斉藤:でも、実際には誰からも何も言われない(笑)。

田中:そういうことについては本当に何も言われないですよね。企画会議ではコンセプトを磨くために本当にいろいろなことを言われるんだけど、「田中さん今月は何本出るの?」とかそういうことは一切ありません。

淡路:たしかにそうですね。

田中:ダイヤモンド社の本づくりは、「プロセスまで含めて全部自分で決めてね」というスタンスです。刊行点数やスケジュールといったプロセスはあまり問われず、売上目標があってそれをいかに達成するかは全て自分の作戦しだい。だから会社に文句を言う余地もない。私は、自分にはこれが向いているなって思っています。プロセスを管理されると目の前のことに適応しちゃって、結果的に良い本にならない可能性もある気がするので……。

淡路:あと、編集者ってとりあえず本を出しておけば「仕事してる感」が出るじゃないですか。でもそういうのも全く求められてなくて。なんというか、会社のためを求められるというより、読者のためになることを求められる。時間が掛かっても結果的に良い本をつくったほうが読者のためになると。とことん読者のことを考えないといけないというのは、もちろんプレッシャーもあるんですけど、そこは今までにない感覚だなっていう気は確かにしますね。

斉藤:出版社の都合とか、編集者の都合で本を刊行するっていう感覚が、私も以前はあったかもしれません。それが今は変わったなと。企画のコンセプトを大事にするっていうのも、結局は読者視点でどこまで考えるかってことで、そこにすごく重きを置くようになったと感じます。

編集者の目標管理と評価

──編集者の数値目標やその評価についてはどう感じていますか?

斉藤:編集者を刊行点数や発行部数で評価する出版社も多いと思いますけど、ダイヤモンド社は売上(過去6年分の担当書の今年度の売上)で評価しますよね。で、目標金額がとんでもなく厳しいかって言うと、そんなことはないかなと(笑)。大変ですけど、ちゃんと頑張ればいけるレベルっていう気はします。それに、売上に対してめちゃくちゃ厳しく言われるわけでもない。半年ごとに上司と評価面談があるので、そのときはもちろん話し合いますけど。毎月各自に個人別売上データが配られるので、自分の成績はそれで把握できます。それを追いかけながら頑張っていく感じですね。

淡路:僕は金額と刊行点数の両方で評価される会社にもいたんですが、あまり数をつくるのが得意じゃなかったので、そこに対するジレンマはありました。ダイヤは刊行点数のノルマがないのでありがたいですね。売上目標の達成については、僕のいる第3編集部はある程度は言われるかな。もちろん各メンバーのスタイルは尊重しつつ、金額が達成できていないとやっぱり点数も出そうよ、打席には立とうよっていう感じで。

『頭のいい人が話す前に考えていること』

田中:さっきのプロセスの話と共通するんですけど、どういう手段で売上目標を達成するかは問われてないんですよね。刊行点数をいっぱい出して目指すのもありだし、少ない点数で一冊一冊を売り伸ばして目指すのもあり。ただ、ダイヤの場合は過去の担当書の今年度の売上を見るから、年度末の3月に出し逃げみたいなことが通用しないんです。次の年に返品があるとその分がマイナス計上されるので。やはりしっかり売れる本を出さないと意味ないよっていう仕組みになっている。そのインセンティブ設計がとても良くできていると思っています。編集者の側は、本当に長く売れる本をつくるためにはどうするかを考える必要がある。

 それから、目標達成のプロセスは任されているので、既刊を重版させるのと新刊を1冊出すのは、同じ部数であればどちらでもいいんですよね。自分なりに、ここは新刊で行こうとか、今は全力でこの既刊を売るほうがいいとか選べるわけです。ダイヤに入って私のなかで価値観が変わったのは、既刊をもっと丁寧に売り伸ばしていいんだということです。以前は、既刊に手を掛け過ぎずどんどん新刊を出すべきだと考えていました。それが今は、この子をもっと大事にしてもいいのねという感じで(笑)。もちろん、どちらが正解ってことではなく、どちらを選んでもよくて、それが自分に任されてるというのが嬉しいんです。

営業部門、宣伝プロモーション部門との関係

──営業部門、宣伝プロモーション部門との関係についてはどうですか?

斉藤:営業との会議では、類書が売れていないからダメとか、そういうことはいっさい言われないですよね。基本的に編集が出した企画は尊重してもらえる。あと、編集と営業が喧嘩するとかもない(笑)。刊行された本にちょっとでも動きが出れば、素早く仕掛けてどんどん売ってくれますし。

田中:前職の頃から、「ダイヤモンド社の営業はすごい」という印象はありました。でも今思えば、それは解像度の低い漠然とした印象だったんです。実際に入社したら、いい意味でギャップがありました。「よーしこれ行くぞ!」ってドーンとやるみたいな感じではなく、非常にロジカルなんです。データがすべての元になっている。

斉藤:重版も需要予測をする独自の計算式に基づいて決めていますよね。なので、ときにはこちらが驚くほど大胆な部数の重版もあります。

淡路『頭のいい人が話す前に考えていること』が5万部一気に重版になったときは驚きました。「そんなに刷ってくれるんだ!」みたいな。普通は編集側が「もっと刷ってよ」と思うのに、逆に「そんなに刷って大丈夫ですか?」と(笑)。ブーストが掛かったときの営業のパワーは本当にすごいなとびっくりしました。

田中:すべてがデータに基づくというのは厳しい面もあるんですけど、不公平さや漠然とした不満が生じません。重点商品を決めるうえでも数字の根拠があるっていうのは、編集者としてはすっきりします。

 あと、宣伝部門にもすごくお世話になっています。たとえば『独学大全』って、ネット上ではその分厚さから「鈍器」って言われてたんです。それを宣伝部門が「鈍器本」とネーミングしてプレスリリースを打ってくれました。他社の分厚い本とともに「今こういう分厚い『鈍器本』が売れています」っていう感じで。それが元で新聞が取材に来てくれたり、テレビでも取り上げられたりしました。

『独学大全』『発達障害サバイバルガイド』『メイクがなんとなく変なので友達の美容部員にコツを全部聞いてみた』

淡路:何かニュース性のあることが起きるとプレスリリースをつくってくれるって、すごく嬉しいですよね。あと、売れている本には宣伝担当者が付くじゃないですか。だから販促に関してはその人に相談すればいい。チームとしてタッグを組んでやるっていうのは初めてですが、非常にやりやすいです。

斉藤:宣伝やプロモーションを担当する部署がない出版社も多いですよね。その場合、他のメディアとのパブリシティのやり取りなんかも編集者が全部自分でやることになる。ダイヤモンド社は宣伝部がそういった役割を担っていて、営業部と連携してプロモーション全般をリードしてくれるので、編集者は本づくりに集中できるっていう感じがします。

書籍オンラインの活用

田中:最初に淡路さんも触れていましたが、編集者自ら本に関する情報を発信できる「書籍オンライン」の存在もダイヤならではですよね。Web上でのタイトルの付け方とか本当に勉強になります。記事が多くの人に読まれるか、それが本の販促につながるか、すべて自分の結果として返ってくるので。

斉藤:自社のWebメディアがないと、本の紹介を外部のメディアにお願いすることになります。となれば、タイトルやタイミングはどうしても先方に委ねることになる。自分でつくった本の情報を、自社メディアで自ら発信できるというのは本当にありがたいです。

田中:外部メディアにお願いするとPDCAが回せないんですよね。その記事が良かったのか悪かったのかがわかりにくい。「書籍オンライン」はダッシュボードもあって記事ごとのデータを全て自分で分析できるので、より効果的な記事をつくれます。

淡路:本をつくるのって時間がかかるし、ダイヤモンド社に入るとさらにその傾向が強まりますよね。なんというか、もうモゴモゴと考え続ける時間が長い(笑)。でも、書籍オンラインの記事は一瞬で結果が返ってくる。マラソンと100メートル走の両方が編集者として味わえるという感じで個人的にはすごく楽しいなと思ってます。

斉藤:ネットでどういう記事が読まれるかって、書籍編集だけやってるとあまりわからない。それが分かるのは貴重だと思います。

淡路:Webの文脈と本の文脈ってやはり違うんですよね。書籍オンラインの記事をつくることで「本としての価値」が何なのかをこれまでより深く考えるようになりました。Webのお陰で本づくりを考える視点が増えたと感じています。

こんな人と同僚になりたい

──では最後に、今回の採用でどんな人に来てほしいか、どんな人がダイヤモンド社に向いていると思うかを教えてください。

斉藤:どうしてもやりたい企画があったけど反対されて諦めたとか、つくりたい本が自分の頭の中にあるんだけど今の職場では実現できないとか、そういう人に来てもらうとよいと思います。ダイヤモンド社は本当に自由度が高い会社だから、こんな企画は駄目だよとかは基本的に言われないので。

 あとはやっぱり仕事である以上いろいろ大変なことはあるわけですけど、この職場では皆が楽しくポジティブに働いていると思います。だから、前向きに頑張っていける人に向いているし、そういう人がまた一人でも増えたら嬉しいなと。私が所属している第1編集部は本当にリラックスした雰囲気で、とにかく自由で、各自の仕事について細かいことはほとんど言われません。ただし、企画会議ではさまざまな話し合いをすごくします。皆がアイデアを出し合い、忌憚なく意見が交わされるので忖度も必要ない。私自身、企画会議で同僚のアイデアに助けられたことは数え切れないほどあります。だからストレートに意見交換できる人が来てくれたらありがたいですね。

田中:私は熱意ある人に来てほしいと思っています。過去の実績も大事ですけど、「絶対に売れる本をつくりたい」「絶対にこういう企画がやりたい」「もっと編集者として本づくりを極めたい」といった強い思いがある方がダイヤには向いていると思います。本当に1冊1冊にこだわり抜く人が職場にいっぱいいるので、熱意さえあればいくらでも成長できるし結果も出るはずです。また、前にも言った通りダイヤは企画のオリジナリティを重視します。だから、こうすれば売れるでしょ、みたいな感じで本をつくる人じゃなくて、「うぬ~、ぐむむむ」みたいな感じで(笑)知恵を振り絞りながらつくる人のほうが向いている気がします!

淡路:僕は、考えることが好きな人に来てほしいですね。単にダイヤに入れば売れる本がつくれるわけではなくて、考え抜くことが大切です。だから、それが好きな人にすごく向いているんじゃないかと。あとはやはり「ないもの」をつくる人ですね。ダイヤモンド社では「こういう本はなかったよね」っていう企画がすごく歓迎されます。だから、今まで世の中になかった本をつくりたいっていうハングリーさがある人にはすごく向いています。実際にそういう本を読者のためにつくれば、皆が全力で応援してくれるはずです。

(終わり)

※具体的な募集要項はダイヤモンド社の採用情報ページをご覧ください。また「マイナビ転職」にも詳しい情報が掲載されています。
※本記事以外に、現役の書籍編集長4人が職場の雰囲気や仕事内容、求める人材像などを語る座談会記事もこちらからお読みいただけます