近年、「頭の回転の速さの象徴」としてお笑い芸人が多くの場面で活躍をしている。そんなあらゆるジャンルで活躍をし続けるお笑い芸人たちをこれまで30年間指導し、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』でも話題になった伝説のお笑い講師・本多正識氏による『1秒で答えをつくる力』が人気を博している。ナインティナインや中川家、キングコング、かまいたちなど今をときめく芸人たちをこれまで1万人以上指導してきた本多氏の仕事に対する考え方をオリジナル記事としてお届けする。
「仕事が速くて丁寧な人」と「仕事が速いだけの人」の違い
仕事をしていると「仕事が速くて丁寧な人」もいれば「仕事が速いだけの人」もいます。前者はどんな職場でも重宝されるでしょうが、後者はその逆でしょう。
そんな両者のあいだにはどんな違いがあるのでしょうか。一緒に見ていきましょう。
まず、仕事が速いだけの人が悪いかというとそんなことはありません。仕事のスピードは大きな魅力でしょうし、遅いよりは速いほうがいいのは間違いないでしょう。
ただ一方で、仕事は速ければなんでもいいわけでもありません。仮にどんなに仕事が速かったとしても一定のクオリティが保たれていなければダメですし、そうでなければ、かえってまわりに迷惑をかけてしまいます。
たとえば、資料作成の仕事で考えてみましょう。スピードだけを重視すれば資料作成はすぐに終わる仕事です。
私が皆さんの部下で資料を作成したとしましょう。スピード重視で作業を行い、上司である皆さんのところにそれを持っていきました。皆さんにチェックしてもらったところ、いくつか修正や加筆をしなければいけないところが見つかりました。
私はその修正作業もスピード重視で行い、再び皆さんのところに持っていきます。するとまた別の同じような修正が見つかりました。また同じ作業の開始です。
どうでしょうか。決して効率のいい働き方ではないと感じるのではないでしょうか。皆さんもお気づきの通り、速さだけではこのような事態が起きてしまいます。しかもそれは、自分がダメージをくらうだけならまだしも、まわりの人を巻き込んでしまうのです。
何度もチェックの作業に追われるのは上司も負担が大きいでしょうし、それが3回目、4回目となってくると、「こいつは考えて仕事をしているのか?」と疑問を抱かざるを得ないでしょう。
つまり、「仕事の速さだけ」を求めてしまう人は、「考えて働く」ことを犠牲にしてしまうのです。これではいくらやる気があっても活躍するのはむずかしいでしょう。