楽天のポイント経済圏は「通貨」と同じ
国民の信認を失えば一気に崩壊する

 楽天はどのくらい、“マズい”のか――。これを理解するために、楽天グループと同じくらいの危機的状況におかれている「ある組織」と比べてみます。

 その組織では楽天のポイント経済圏と同じように、通貨経済圏がほんの少しのかじ取りの失敗で崩壊するかもしれない、そのようなプレッシャーの中での緻密でかつ組織的なコントロールが求められています。

 その組織とは、日銀です。

 黒田バズーカ以降、禁じ手と言われながらも500兆円の国債を買い上げ、マイナス金利を維持し、イールドカーブのゆがみの是正にも絶妙な形で対応を迫られています。楽天ポイント経済圏のポイント付与率に相当するのが、日銀の場合は金利です。

 メディアを見ていると誰でも気づくことですが、この日銀の抱える課題について、常に植田日銀総裁が登場し、常に中心的役割で説明責任を果たしています。いろいろな部門で勝手に金利をちょこっと動かすようなことをしないからこそ、国の通貨というものは安定し、円通貨経済圏に対して国民の信認が得られています。

 今、楽天グループの最大の経営課題は楽天モバイルの加入者をどう増やすのかということなのですが、その次に重要なことは間違いなく楽天ポイント経済圏の維持です。

 日銀の植田総裁が金利を0.25%ポイントレベルで緻密にコントロールしているのと同じように、楽天でもポイントの上げおよび下げについてCPOに相当する人物を決めて、その人が4000万人の楽天経済圏ユーザーと対話しながら、ポイント経済圏の価値をコントロールしていくべきではないでしょうか。

 楽天グループがここまで繁栄してきているのも、楽天モバイルを除きグループ傘下の事業がそれぞれ高収益をたたき出しているのも、利用者が楽天ポイント経済圏を信認しているからです。そして通貨と同じで、ポイント経済圏も国民の信認を失えば一気に崩壊します。

 今回の改悪と今までの改悪で根本的に違うのは、「タイミング」です。

 楽天モバイルに戦線を集中すべきこのタイミングで、なぜ楽天カードが後ろから三木谷さんに向けて弾を撃つように0.01%のポイント改悪を打ち出したのか。それも楽天グループ総力を挙げたイベント「Rakuten Optimism 2023」の開催前日にぶつけてきたのはなぜか?

 うがった見方をすれば楽天銀行、楽天証券に次いで、楽天グループの虎の子といえる楽天カードを早く上場させ売却させたい勢力の存在を疑わせる行為です。グループ一丸となることができるのか、楽天は正念場を迎えています。

【訂正】記事初出時より以下のように訂正します。
35段落目:「SPU(スーパーポイントプログラム)」→「SPU(スーパーポイントアッププログラム)」
(2023年8月31日11:25 ダイヤモンド編集部)