楽天は「CPOが機能していない」という
組織的な問題を抱えている

「でも、ポイント改悪で消費者が離れたらカードの利用者も減るよね」と思うかもしれません。

 ここで問題になるのは時間軸と被害の範囲です。まず間違いなく言えるのは、この程度のポイント改悪であればカードの利用者の99.9%はカードの利用をやめません。

「ペイペイカードが1%で楽天カードが0.99%だから、今月からすべての利用をペイペイカードに変えるぞ」といった行動変容を人間はとらないものです。ですからこの程度の改悪では楽天カード株式会社の業績は1~2年のタイムスパンではマイナスにはなりません。

 むしろ問題なのは、楽天経済圏に与える長期的なダメージです。

「改悪が続いている楽天市場よりもシンプルにアマゾンの方がいいんじゃないか?」
「楽天モバイル不安だよね。今の携帯でいいんじゃない」

 みたいな風評を含めた形で、改悪は楽天経済圏の勢力拡大を妨げます。

 ここで、直近2年ほどの間に起きた、楽天のポイント付与施策「SPU(スーパーポイントアッププログラム)」の改悪を振り返ってみましょう。楽天ゴールドカードの改悪、楽天ビューティの改悪、楽天の保険の改悪、楽天証券の改悪、楽天ブックスの改悪といった具合に、改悪はそれぞれの部門で起きています。

 おそらく、楽天は組織的な問題を抱えています。「今の楽天グループにはCPO(チーフポイント経済圏オフィサー)が必要であるにもかかわらず、その役割の人が機能していない」という根本的な“マズい状況”におかれていると考えられます。