昨年と同じ実績の場合
楽天は18.2億円「得」をする

 となると今回の改悪騒動の本質は、「きわめて軽微なポイント改悪でこれだけ世論をざわつかせるのは、楽天グループにとって意味があるのかどうか?」という経営問題にある、ということになります。

「経営者がダメだからこういうことが起きるんじゃないのか?」とお感じの読者が多いかもしれません。

 しかしこの問題、経営者がしっかりしているから起きるという逆説的な現象でもあります。

 あなたが楽天カード株式会社の社長だったと想像してみてください。利益を増やすことが重要なミッションになっているとします。

 今回の改悪で会社の業績がどれほど上がるのか、想像してみましょう。楽天カードの2022年のショッピング取扱高は18.2兆円です。その0.01%のポイント出費を節約できたとしたら18億2000万円ものコスト節約になります。

 もし18億円を他のコストで削減しようとしたら、たとえば人員のリストラならビジネスに悪影響を及ぼさない形で最低100人はクビを切らないと達成できません。コストではなく営業収入で18億円増やそうとしたら、投資ゼロでもカードの取扱高を600億円増やさないとダメです。

 つまり、ポイントをいじるというのはイージーな形で劇的に業績プラスに寄与するのです。