「しゃべりだし」のフレーズを知らないからしゃべれない

 具体的な例を1つあげてみましょう。

 みなさんは「一人暮らしってほんとにいいよ」を英語で言うとしたら、どのように表現しますか?

 正解を言ってしまう前に、ひとつヒントを出してみます。ほとんどのみなさんが、Nice to meet you. という表現をご存じだと思います。「お会いできてうれしいです」という意味の、定番の挨拶ですね。

 じつは、このNice to... はIt’s nice to... の省略形。みなさんの中には、Nice to... と聞くと、自動的にNice to meet you. が頭に浮かぶという人も多いかもしれませんが、それって「もったいない」んですよね。

 Nice to ... (It’s nice to ...)は、Nice to meet you. のため「だけ」のものではないからです。Nice to... (It’s nice to...)は、「~できてうれしい/~はいいことだ」という意味で、あらゆる場面で「喜び」を表現したり、「ポジティブな感想」を述べたりするときに使える、便利な「しゃべりだしフレーズ」なのです。

 では、このしゃべりだしフレーズを活用して、先ほどの「一人暮らしってほんとにいいよ」を英語にしてみましょう。「一人暮らしってほんとにいいよ」は、「一人暮らしできてうれしい」ということですから、It’s nice to... というフレーズがピッタリですよね。「一人暮らしする」はlive alone でOK。

 そうすると、正解は「It’s nice to live alone.」になるわけです。

「It's nice to...」というしゃべりだしフレーズを知っているだけで、表現できることが一気に増えるんです。

 もう1つ例を挙げてみましょう。

 多くの日本人が苦手とする英語の用法のひとつに「仮定法」がありますが、では「もし新しいパソコンを10台買ったとしたら」を英語で表現するとしたら、あなたはどのように言いますか?

「『もし』だからif を使って……。そのあとはどう続ければいいんだっけ?」などと、一瞬とまどってしまう人も多いのではないでしょうか?

 ですが、本書で紹介している、「Let’s say...」というしゃべりだしフレーズを知っていれば、こんなときにすごく役に立ちます。

「もし新しいパソコンを10台買ったとしたら」なら「Let’s say we buy 10 new computers.」のようにごくシンプルに言うことができます。

 しゃべりだしフレーズの知識を増やしていくことで、さまざまな場面に対応できる、実践的な英会話力を自分のものにすることができるのです。