ビッグモーターの不正は
業界全体の構造的問題
中古車販売大手のビッグモーターによる保険金不正請求問題は、急成長したビッグモーター自体のコンプライアンスやガバナンスの不全が指摘される一方で、自動車販売業界全体における整備と保険の構造的な関係の問題点を浮き彫りにしたと筆者は考える。
ビッグモーターの行為は言語道断であり、悪質な不正が横行していた“ブラック企業”として何らかの行政処分を受けることになったとしても、事はビッグモーターだけにとどまらない業界全体の構造的な問題としてしっかりと捉える必要があるのではないか。
そこには、バブル経済崩壊後の自動車市場の成熟化でアフターサービスにおける整備が“総合整備業”へと移行してきたことや、自動車ディーラーによる整備サービス領域強化の動き、さらには損保業界の競合激化の中で整備業との連携が強まったという背景があるだろう。