相次ぐ若者による無差別事件に震撼
便乗した犯行予告も多発
第一の無差別襲撃事件は、7月21日にソウル市南部の冠岳(クァンアク)区の地下鉄駅近くで白昼起こった。男が突然刃物を振り回して道行く人に襲いかかり、1人死亡、3人が負傷し、いずれも被害者は男性であった。
逮捕された男は30代で、10代の頃に少年院に入所経験があるなど複数の前科があることが分かっている。また、「生きるのが嫌になった。自分よりも小柄で細身の男性を狙った」と供述しているという。
そして8月3月夕方には、ソウル近郊の京畿道城南市でやはり男が無差別に人を襲う事件が発生、22歳のフードデリバリー業の男が逮捕された。男は軽乗用車で犯行現場に向かい、複数の通行人を車でひくと、車から降り、さらに刃物を握ってデパートの中に入り、逃げまどう人々を追いかけて無差別に刺したという。
車にはねられた5人とデパートで刺された9人、合計14人が負傷し、そのうち12人が重体という大惨事となった。車にはねられて重体だった1人の女性は、6日に亡くなったという。また、容疑者の身上についても徐々に分かってきている。東亜日報の報道によると男は元々成績優秀で、特目高校と呼ばれる難関高校に入学を目指すも失敗。その頃から心身に不調をきたし、高校1年で中退していた。その後は自宅で両親と暮らしながらアルバイトを転々としていたという。
わずか2週間で立て続けに無差別襲撃事件が起き、韓国内では大きな衝撃が走っている。さらには国民の恐怖につけ込むかのように、ネット上に「ソウルとその近郊、さらには釜山で8月4日~5日にかけて類似の襲撃事件を起こす」という趣旨の犯行予告ともとれる投稿が相次いで見つかり、46人が検挙された。検挙者の多くは未成年者で、大半は「いたずらだった」と供述しているという。
こうした凶悪事件の連鎖に、人々の不安が高まっている。
5~6月に起きた猟奇的殺人事件
容疑者は23歳、17歳の女
また今年は、猟奇的な殺人事件が相次ぎ、その容疑者がいずれも若い女性であったことにも動揺が広がっている。
5月下旬に釜山で起きた事件は、23歳の女が家庭教師のマッチングアプリに中学生の親を装って登録し、「子どもの勉強を見てくれる英語の家庭教師を探している」と投稿した。これに返信をした家庭教師の中から、20代で一人暮らしをしている女性にコンタクトを取った。