日経平均がバブル後最高値を更新した。だが、「将来のお金の問題が不安だ」「投資が大切だと漠然とわかっているが、なかなか行動に踏み切れない」「貯金や投資を始めてはみたものの、自分の方法が正しいかどうか確信が持てない」──そんな悩みを抱えていないだろうか? そんな人に朗報がある。
全世界350万部突破『サイコロジー・オブ・マネー』著者モーガン・ハウセルが「ニックのように、データの真の意味を理解できるデータサイエンティストでありながら、説得力のあるストーリーを語れる人はまずいない。絶対読むべき一冊だ」。全世界1000万部突破『Atomic Habits』著者ジェームズ・クリアーが「お金に関する価値ある知恵と実践的なアドバイスが満載」と強力ダブル推薦する注目書がついに日本上陸。
全米ベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』だ。
全米屈指のデータサイエンティストによる、お金を貯め、富を築くための証明済の方法を初公開。本稿では、本書から一部を抜粋・編集しながら長期的に投資で成功し続ける人の共通点について見ていこう。
ラスベガスに飛んで、
賭けをして勝ったのさ
フレッド・スミスは途方に暮れていた。
すでに資産の大半をフェデラル・エクスプレス(後のフェデックス)という宅配会社の設立のためにつぎ込み、出資パートナーであるジェネラル・ダイナミクス社から追加出資を断られたばかりだった。
ある金曜のことだった。翌週のジェット燃料の代金2万4000ドルを、次の月曜までに払わなければならない。
だが問題があった。フェデラル・エクスプレスの銀行口座には、5000ドルしかなかった。
スミスは自分が思いつく唯一の手段を実行に移した――ラスベガスに飛び、虎の子の5000ドルを賭け金にしてブラックジャックをしたのだ。
月曜の朝、フェデラル・エクスプレスのゼネラル・マネジャー兼オペレーション・チーフのロジャー・フロックは、会社の銀行口座を確認して驚き、すぐにスミスに何があったか尋ねた。
スミスは白状した。
「ジェネラル・ダイナミクスから出資をしてもらえなかった。月曜に金が要るのがわかっていたから、ラスベガスに飛んで、賭けをして勝ったのさ」
そう、スミスは会社の全資金を賭け金にして、ブラックジャックで大勝ちしたのだ。
あっけにとられたフロックは、なぜ虎の子のお金をギャンブルにつぎ込むような危険なまねをしたのか迫った。
スミスは答えた。
「どのみち危なかったんだ。月曜までに燃料会社に金を払えなければ、飛行機で荷物を運べなかったんだから」
スミスのエピソードは、リスクと「何もしないことのコスト」についての重要な教訓を示している―まったくリスクを取らないことが、最大のリスクになるときがある。
長期的に投資で成功するための“入場料”
これは投資にも当てはまる。
金融メディアは、ヘッジファンドが大失敗したり、宝くじに当たった人が破産したりすると大きく取り上げる。
だが、何十年も現金で持ったまま富を築くチャンスを逃し続けている人については、記事にすらしない。
リスクを避け続けている人は、何年経ってもリターンを得ることはない。
だがそれは、リスクを取りすぎたのと同じくらいダメージを被る可能性があることなのだ。
市場のボラティリティを恐れる人ほど危ない。リスクばかりに目がいくと、プラス面を逃してしまうのだ。
もしあなたがプラス面(投資によって資産を増やす)を望むのなら、ボラティリティと周期的に訪れる資産の下落を受け入れなければならない。
これは、長期的に投資で成功するための“入場料”なのだ。
だが、ボラティリティはどのくらい許容できるものなのか?
この入場料はいくらなのか?
本書では、簡単なシミュレーションを通じてこの問題を興味深く考察している。
(本稿は『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の一部を抜粋・編集したものです)