日経平均がバブル後最高値を更新した。だが、「将来のお金の問題が不安だ」「投資が大切だと漠然とわかっているが、なかなか行動に踏み切れない」「貯金や投資を始めてはみたものの、自分の方法が正しいかどうか確信が持てない」──そんな悩みを抱えていないだろうか? そんな人に朗報がある。
全世界350万部突破『サイコロジー・オブ・マネー』著者モーガン・ハウセルが「ニックのように、データの真の意味を理解できるデータサイエンティストでありながら、説得力のあるストーリーを語れる人はまずいない。絶対読むべき一冊だ」。全世界1000万部突破『Atomic Habits』著者ジェームズ・クリアーが「お金に関する価値ある知恵と実践的なアドバイスが満載」と強力ダブル推薦する注目書がついに日本上陸。
全米ベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』だ。
全米屈指のデータサイエンティストによる、お金を貯め、富を築くための証明済の方法を初公開。本稿では、本書から一部を抜粋・編集しながらパニック時でも動じない投資メンタルについて見ていこう。

【全米屈指のデータサイエンティストが教える】パニック時でも動じない投資メンタルPhoto: Adobe Stock

コロナ禍のマンハッタンでの出来事

 私は、2020年3月22日の朝に体験したことを生涯忘れないだろう。

 それは日曜だった。

 食料を買いに、マンハッタンの2番街、30丁目にある地元のスーパー「フェアウェイ」に向かった。

 わずか2日前、S&P500は3.4%の下落でその週を終えていた。

 1ヵ月前の高値から、すでに32%もの下落だ。私はパンデミックの影響で世界経済が停滞している中で市場がどうやって回復するのか、自分が納得できる答えを探しながら苦しんでいた。

 ニューヨークではレストランの屋内営業が禁止され、NBAのシーズンは中断された。

 結婚式をキャンセルしたという知人からのメールが受信トレイに何通も届き始めていた。

 自分だけでなく、まわりの人もパニックになっているのがわかった。家族や友人からの不安げなメールが増えていたからだ。

 今が株価の底なの?
 株は売ったほうがいい?
 どこまで悪くなると思う?

 正直、どうなるかわからなかった。

 だが、自分自身(と私にアドバイスを求めてきた人たち)の正気を保つため、この危機について自分なりの考えを見つけなければならなかった。

 エスカレーターで店のエントランスホールに降りると、そこにはたくさんの花が売られていた。

暴落時でも動じないメンタル

 ここではいつも花が売られていたが、この日曜の朝、たまたま、男性店員が丁寧に花を並べている姿が目に入った。

 その瞬間に思った――すべてはうまくいくだろう。

 私のまわりの世界は、足元から崩れ落ちているように思えた。

 だが、花を売る人は、いつもの場所で、いつものように花を売ろうとしていた。

 そのとき感じた何かは、いつまでも私の心に残っている。

 それが場違いなことに見えたからかもしれない。

 なぜこんな非常時に花が要るんだろう?

 当時の私に必要だったのは、缶詰やトイレットペーパーだったはずだ。

 だが、それは場違いではなかった。

 普通の日常を感じさせてくれた瞬間だった。

 花を売っている男性がまだ希望を持っているなら、なぜ私は希望を持とうとしないのか?

 この体験は、誰にも話さなかった。それでも、混乱の中で、私を元気づけてくれた。

 それから間もなくして、金融恐慌が起こったときの新しい投資の枠組みを思いついた。

 それを本書17章で説明していきたい。

 これにより、暴落時でも動じないメンタルが育まれるだろう。

 私は17章を、金融界が不安定なときの拠り所となる指針になるように書いた。

 将来、再び最悪の事態が起こるときがくるだろう。

 そのときは、この章をもう一度読んでほしい。

 内容を正しく理解でき、実行すれば、本書に払った対価の何倍も取り戻してもらえるはずだ。投資の神様があなたにご慈悲を賜りますように――。

(本稿は『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の一部を抜粋・編集したものです)