米連邦準備制度理事会(FRB)は、経済を破綻させることなくインフレを制御するため一連の措置を講じてきた。だがFRBの手に負えないものもある。天候だ。米国の科学者は、極めて強いエルニーニョ(太平洋で定期的に発生する気象現象)により、今年の秋から冬にかけて気温が摂氏1.5度上昇する可能性があると予測している。2009-10年や15-16年にエルニーニョが発生した際は、世界各地で熱波や干ばつが起き、食料価格が高騰した。欧州中央銀行(ECB)は、エルニーニョによって気温が摂氏1度上昇すると、世界的に食料価格が1年で6%上昇すると試算している。JPモルガンのエコノミストは最近のメモで、そうなればインフレは着実に低下しているという「説明に無理が生じる」と警告している。リセッション(景気後退)を回避するソフトランディング(軟着陸)への期待は、この説明が根拠になっている。
世界経済を振り回す異常気象、途上国は大打撃
極端な天候が頻発する中、特に貧困国では経済成長と物価への脅威が高まっている
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