昨年最も熱かったガス市場は落ち着いた。その中で起きた変化の一部は元には戻らないかもしれない。欧州では天然ガス価格が下落したにもかかわらず、需要は回復していない。欧州の天然ガス価格の指標となるオランダTTFの先物価格は1年前と比べ85%下落している。当時はロシアからの供給が止まったことを受け、欧州各国が冬に備えてガスの確保を急いでいた。価格下落の一因は、欧州のガス貯蔵施設がすでに満杯に達していることだ。先週には貯蔵能力の90%という目標を達成した。これは欧州連合(EU)の昨年時点の予定より2カ月以上早い。域内の需要も弱い。シンクタンクのブリューゲルが公表している欧州天然ガス需要トラッカーによると、ガス使用量は1-3月期に2019~21年の平均を18%下回り、4-6月期は19%下回った。減少幅は昨年の12%から拡大した。
冷める欧州の天然ガス熱
安価で信頼性が高いという定評は揺らぎ、再生可能エネルギーへの傾斜強める
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