民事再生法を申請した征矢野建材の本社民事再生法を申請した征矢野建材の本社(東京商工リサーチ撮影)

今年6月と8月、木材業界で相次いで発生した大型倒産が波紋を呼んでいる。コロナ禍の収束とともに木材価格は落ち着きを取り戻しつつあるなか、なぜ今、このような事態となったのか。(東京商工リサーチ情報部 増田和史)

今夏に木材業界で発生した
2件の大型倒産が波紋

 今年6月と8月、木材業界で発生した大型倒産が波紋を呼んでいる。新潟県に本社を置く(株)イタヤ(南蒲原郡田上町、負債35億8500万円)、長野県の征矢野(そやの)建材(株)(松本市、負債65億2000万円)の2社が相次いで民事再生法の適用を申請した。

 過去10年の木材業界(販売・製造)では、征矢野建材が最大規模、イタヤは4番目の大型倒産となる。消費者にはなじみが薄いが、2社とも製材、プレカット工場を持つ地場大手として業界では知られた企業だった。ハウスメーカーなどに営業地盤を築き、地域の木材・建材市場での存在感は大きかった。

 木材業界は2021年初旬から“ウッドショック”と呼ばれる世界的な木材価格の高騰が押し寄せた。北米の製材市場に端を発し、ロシアのウクライナ侵攻などの世界情勢も絡んで木材の需給バランスが崩れ、約2年にわたる異常な高値が続いた。

 コロナ禍の収束とともに木材価格は落ち着きを取り戻しつつある。そして、このタイミングで発生した突然の大型倒産に、業界では驚きと同時に危機感が高まっている。