韓国で長く読まれている勉強の本がある。日雇い労働をしながら4浪の末、ソウル大学に首席で合格した『勉強が一番、簡単でした』(70万部)。韓国では「受験の神」と称され、勉強に携わるもので、その名を知らない人はいない。日雇い労働者からソウル大学首席合格者になるまで、人生の大逆転を成し遂げた、韓国で知らない人はいない奇跡の物語。読後、モチベーションが高まり、勉強したくなる自分に驚くはず。超ロングセラー本『勉強が一番、簡単でした』から、その驚くべき内容を紹介する。

基礎的な学力がないときの勉強法Photo: Adobe Stock

真っ白な紙が墨を吸うように
勉強にのめり込む

 基礎的な実力がないので、やるべき勉強は山ほどあった。予備校の授業とは別に、国・英・数の全範囲をひとりで勉強しなくてはならなかった。

 英語の授業時間に先生が仮定法の説明をしていても、仮定法がいったい何なのかわからず、家に帰って文法書を広げて仮定法過去完了、過去形、未来形を覚えた。

 大学入学共通テストを受けたことがないので、どう勉強していいかもわからず、ひたすら教科書と予備校の教材、教育テレビの教材などを頭から読んでいった。

 しかし、勉強するのは意外に面白かった。試験でよい点を取ろうという考えもなく、全然知らないことをひとつずつ覚えていくという、まったく新しい経験にのめり込んだ

 知識を得ることが、これほどの喜びを与えてくれるとは思わなかった。私と同じ年齢の浪人生ならすでに2浪だから、予備校の授業はすべて知っていることばかりで飽き飽きすることだろう。

 だが私にとっては、まるで白い紙が墨を吸い込むように、すべてが新鮮で、不思議で、そっくりそのまま頭のなかに入ってくるような感じだった。

「ロンドンはソウルよりずっと北にあるのに、なぜ冬はソウルのほうが寒いのか」。

 例えばこんな問題について、地理の勉強ではこう教わる。

「大陸の東岸に位置するソウルはシベリアからの冷たい北西の季節風の影響を受けるが、海洋性気候のロンドンは温かい偏西風とメキシコ暖流の影響を受けるためだ」。

 そのことを知ったとき、それは私にとって喜びだった。

 高校時代にはこんな用語がただややこしく煩わしいだけで、とにかく無条件に頭に叩き込むしかないと思っていた。ところが、大陸の東岸に位置するということがどういう意味なのか、シベリア高気圧はどのように生まれるのか、メキシコ暖流はどうやって生まれ、どこへ流れていくのかを理解してみると、もはやこれらの用語や文章は苦痛ではなくなった。

 勉強も人間と同じで、表面だけ見ているとよそよそしく取っ付きにくいが、先入観を捨てて近づき、詳しい話を聞いてみれば、理解できないことはないと気がついた。

(本原稿は70万部のベストセラー『勉強が一番、簡単でした 読んだら誰でも勉強したくなる勉強法』から一部抜粋したものです)