2023年度の最低賃金の目安の全国平均

最低賃金は平均1000円突破へ、引き上げペースの加速で見逃せない雇用減の影響2023年度の最低賃金の目安の全国平均 出所:厚生労働省

 厚生労働省の中央最低賃金審議会は7月28日、2023年度の最低賃金の目安を全国平均の時給で1002円に引き上げると決めた。目安通りに最低賃金が決まると、17年に策定された「働き方改革実行計画」の目標である全国加重平均1000円が実現される格好だ。

 当面の目標が達成されたところで次の目標設定に関する議論が始まるだろう。その中では、これまで最低賃金が果たしてきた役割について振り返る必要があろう。

 厚生労働省は22年の時点で「最低賃金に関する報告書」を発表しており、賃金や雇用、企業経営への影響を包括的に検証している。ただし、「分析に利用できるデータに制約があることなどから実証研究によっても分析結果に相違があり、定説が得られなかったテーマも多い」とされている。