フリーアナウンサーの大橋未歩フリーアナウンサーの大橋未歩 Photo:JIJI

宇宙飛行士候補者など
3人の話題の卒業生

 六甲の山々を背にした兵庫県西宮市の岡田山と呼ばれる小高い丘の上に、中学から大学院までの神戸女学院のキャンパスが広がっている。150年弱の校歴をバックにキリスト主義教育を実践、「お嬢様学校」としてのブランドにも磨きをかけてきた。学力も急伸し、難関大や医学部合格者が増えている。

 話題の卒業生3人を、紹介しよう。

 女性の宇宙飛行士候補として24年ぶりに選ばれた米田あゆ(1995年生まれ)が、神戸女学院中学部・高等学部のOGだ。将来、NASA(米航空宇宙局)が主導する月探査アルテミス計画に参画し、国際宇宙ステーションに長期滞在する。日本人女性として初めて月に降り立ち、月基地で生活する光景も想像できる。さらに、火星を視野に入れることになる。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の試験には、過去最多の4127人が応募した。その中からわずか2人という狭き門を突破したのは、46歳の男性と28歳の米田だった。米田は2023年4月からJAXAで研修を開始した。

 日本女性の宇宙飛行士の先輩としては、向井千秋(慶応義塾女子高校―慶応大医学部医学科卒)と山崎直子(お茶の水女子大学附属高校―東京大工学部卒)の2人がいる。米田は向井の伝記漫画を読んで、宇宙に憧れたという。

 米田は関西育ち。中学でテニスの全国大会に出場、高校時代にスイスに留学し英語とドイツ語に堪能になった。東大医学部医学科に進学、卒業し、外科医として東京で、研修医生活を送っていた。最近では、研修医の勤務と飛行士選抜試験の準備に加え、京都芸術大大学院の通信教育でデザインを学んできた。「三足のわらじ」をスイスイとこなす、スーパーウーマンだ。

 高田春奈(77年生まれ)は22年9月から、公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)の2代目代表理事(チェア)に就いている。「ジャパネットたかた」の創業者である高田明(長崎県立猶興館高校卒)の長女で、神戸女学院―国際基督教大を経て、社会人になってから東大経済学部と教育学部も卒業した才媛だ。

 父親がV・ファーレン長崎の経営に乗り出したことから、その後継社長に就き、さらに女子リーグ全体をかじ取りすることになった。

 WEリーグの1試合平均の観客動員数は、約1400人にとどまっている。また、23年8月のサッカー女子W杯では、日本代表(なでしこジャパン)は8強という結果で終わった。高田の経営手腕が問われている。

 財界人として活躍が期待される卒業生も出ている。塩野義製薬の沢田拓子副会長(55年生まれ)で、関西経済連合会の副会長ポストに23年5月末から就任した。

 沢田は神戸女学院から京都大農学部に進学、77年に塩野義製薬に入社し臨床試験(治験)を行う開発部門を歩んできた。18年に国内製薬大手では初の女性の副社長に、22年には副会長に就いた。京都大学理事にもなった。

 関経連副会長として今後は、製薬業界のみならず関西経済界全体を見渡した財界人としての見識や指導力が問われることになる。