プロスポーツチームを新たに誘致した都市では、インフルエンザによる死亡者数が急増するという研究結果が報告された。米ウェストバージニア大学ジョン・チェンバース・カレッジ・オブ・ビジネス&エコノミクスのBrad Humphreys氏らによる研究で、詳細は「Sports Economics Review」に6月8日掲載された。
新しい都市にプロスポーツチームを誘致する際には、多額の税金が投入されることが多い。研究グループによると、2000年以降、米国の州政府や地方自治体は、新しいスタジアムの建設に200億ドル(1ドル143円換算で約2兆8600億円)近く、年間にするとおよそ10億ドル(同約1430億円)を投じてきた。これらの投資は、主に政府が債券を発行して調達した補助金で賄われている。
Humphreys氏らは、米疾病対策センター(CDC)の54年間にわたる122都市でのインフルエンザによる死亡データと、NBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)、NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)、NHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)、MLB(メジャー・リーグ・ベースボール)のプロスポーツチームが都市に到着した日付およびこれらのリーグの試合開催期間のデータを収集。都市の人口、気温、降雨量、毎年流行するインフルエンザ株など、ウイルスの拡散に関連する要因を考慮して、両者の関連を検討した。
その結果、1962年から2016年の間にプロチームを誘致した米国の都市では、チーム到着後にインフルエンザによる10万人当たりの死亡者数が4〜24%増加していたことが明らかになった。具体的には、NFLのチームがこれまでプロスポーツチームを抱えたことのない都市に移動してきたときには、インフルエンザによる死亡者数が平均で17%増加していた。これはインフルエンザにより年に約13人の超過死亡が生じたことを意味する。