孫正義氏率いるソフトバンクグループが2016年に英半導体設計大手アームの買収で合意した際、同氏は非常に興奮し、320億ドル(当時のレートで約3兆3000億円)での買収は数十年にわたりハイテク投資をしてきた自身の「運命」だと述べた。ソフトバンクとして過去最大規模の企業買収だった。孫氏はアナリストに対し、アームは5年間で5倍に成長すると語った。そうはならなかった。アームは依然、スマートフォンやコンピューター、自動車に使われる半導体関連の設計では大手だが、ソフトバンクが掲げた高い目標には遠く及ばない状況にある。アームの売上高は2016年以降に65%伸びた。これは半導体業界全体の伸びをやや上回るものの、大手各社には大きく後れを取っている。研究費の急増は、孫氏が予見した利益拡大にまだ結び付いていない。さらに、同社は冷蔵庫や玄関のベルなどあらゆる機器がネットワークにつながることが当たり前になる未来を想定してIoT(モノのインターネット)に投資したが、完全に失敗した。
ソフトバンクG傘下アーム、巨大IPOで試される真価
目標未達の半導体設計大手に市場の審判迫る
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