ロシアの民間軍事会社ワグネルの創業者エフゲニー・プリゴジン氏は、彼のプライベートジェットが墜落するずっと前に、その飛行機が自身の暗殺の舞台になり得るとうすうす感じていた。墜落した「エンブラエル・レガシー600」は、プリゴジン氏が所有していた数機のプライベートジェットのうちの1機で、偵察行為を検知する装置や電子的に調光できる小窓、白い革張りのシートを備えていた。元ロシア空軍関係者やワグネル脱退者、アフリカ・中東諸国の当局者ら、プリゴジン氏が移動する際の行動パターンをよく知る人々によると、飛行機に搭乗する際、同氏は制裁や指名手配犯リストの拡大による包囲網をかいくぐろうとしていた。プリゴジン氏のジェット機は、モスクワのチカロフスキー空軍基地または近隣の民間空港から出発してシリア、リビアやサハラ砂漠の向こう側の顧客を訪れることが多かったが、そうした場合、自機の位置を知らせるトランスポンダー(自動応答装置)のスイッチを切り、航空機を追跡するレーダーの画面から消えることがよくあった。乗務員たちは偽物のパスポートを所持していることで知られており、離陸直前に乗客リストを修正し、その後飛行中に無線管制で突然の目的地変更を知らせたものだった。
プリゴジン氏の逃亡人生、その終わり方
搭乗機の追跡を長年回避し続けた末、暗殺で墜落死
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