英語をたくさん勉強したのに、いざとなると全く言葉が出てこない――そんな人に読んでほしい1冊が『中学英語だけで面白いほど話せる!見たまま秒で言う英会話』だ。「イラストを見る→見たままを英語にする」を繰り返すことで、日本語を介さずに瞬時に即答する「英語の反射神経」が鍛えることができる。実践的なスピーキング力を養うための最適な1冊だ。本稿では、著者の森秀夫さん(麗澤大学外国語学部教授)に「英語を話せるようになるために必要なトレーニング」について話を聞いた。
丸暗記しても話せるようにならない理由
ーー「これまで英語を勉強してきたけれど、いざ英語を話す場面になると全く言葉が出てこない」という人は、何をすれば話せるようになるのでしょうか?
森秀夫(以下、森):まずは簡単な表現を、素早く自分の言葉として口に出せるようになることが重要です。
本書『見たまま秒で言う英会話』に出てくる表現は、ほぼ中学校の教科書の範囲内に絞ってあります。
なぜそうしたかというと、「英語を知っていること」と「英語を実際に使えること」は全くの別物で、多くの英語学習者は、中学英語を十分に使いこなすことができないからです。
中学英語の教科書で掲載される語彙(ごい)は1600〜1800とされており、基本的な会話をするために必要な語彙が網羅されています。
ですので、まずは中学レベルの簡単な表現を確実に使えるようにすることが大切なのです。
「知ってる語彙」と「使える語彙」は全くの別物
ーー「英語を知っている人」と「英語を実際に使える人」には、どのような違いがありますか?
森:少し専門的な話になりますが、語彙には2つの種類があります。「受容語彙」と「発信語彙」に分けられます。
「受容語彙」とは、聞いたり読んだりするときに理解している語彙のことです。
一方「発信語彙」とは、理解しているだけでなく、自分が話したり書いたりする際にも使える語彙のことです。
例えば、中学校の英語で習う"look forward to ~ing"という表現があります。この意味を思い出せる人は多いと思います。
「~することを楽しみにしている」という意味ですね。toの後には、名詞や動名詞である〜ing形が続くということを知っている人も多いかもしれません。
しかし、それだけでは、この表現を100%と学習したとは言えません。「受容語彙」でとどまっている状態です。
この表現をコミュニケーションの道具として、自分で使えるようになって初めて、その表現を100%習得したと言えるのです。
ーー「受容語彙」を「発信語彙」にしていくことが必要なんですね。
森:そうです。そのためには、意味を覚えるだけはなく、自分事として"look forward to ~ing"を使った英文を組み立て、瞬時に口にするトレーニングをしなければなりません。
みなさんは、この表現を使って、パッと文章を口に出すことはできるでしょうか?
「英語の勉強をしているのに話せるようにならない」と感じている人は、簡単な語彙を自分で使えるようにしていくトレーニングをするといいでしょう。