李氏自身の身に迫る“Xデー”
それでも、李氏がここまで必死に尹政権や日本への批判を展開する背景には、自身の身に迫る捜査の手と、党首としての評価がはかばかしくないことがある。
李氏といえば、ソウル近郊の城南(ソンナム)市長や、京畿道(キョンギ)道知事を歴任し、その威勢の良さと豪快さから昨年の大統領選挙では尹氏と最後までデッドヒートを繰り広げ、わずかな差で落選した。
そんな彼の周辺には、いつも多くのスキャンダルが付きまとっていた。女性関係や言動の悪さに加え、親族である甥が交際相手を殺害した事件の弁護を行って「寛大な処罰を望む」と発言したり、市長、知事時代に土地開発にまつわる疑惑があったりと、以前から政治家としての人間性や資質が常々問題視されてきた。
さらに、北朝鮮との親密な関係も指摘されている。韓国の下着メーカーが北朝鮮へ不正に送金を行っていた問題に李氏が関与していた疑いから、前述の土地開発の背任疑惑と併せて捜査対象となっている。
検察への出頭日を巡って攻防を続けている李氏だけに、今回のハンガーストライキに対しても「逮捕Xデーへの最後の悪あがき」「往生際が悪い」などと言われているほどだ。今や、日本に対して何か言うだけで「中国や北朝鮮にもそれぐらい言ってみろ」と揶揄(やゆ)される始末である。
身内である「共に民主党」党内からも、思うように現政権を追い込めず、国民の支持を得られないことにしびれを切らし、李氏の党首としての指導力や資質を疑問視する声が出始めている。党内は既に分裂状態にあるとも言われる。
ハンガーストライキという手に出た李氏はこれからどうするつもりなのか、今後の動向に注目が集まるが、筆者としては、ターゲットをたたく以外に、国民を団結させることも世間の注目を集めることができない彼のやり方はいかがなものかと思うのである。