日本の新薬開発が海外より「圧倒的に遅い」理由、コロナ禍で格差が露呈写真はイメージです Photo:PIXTA

次世代医療に不可欠な
DCTとは?

 新型コロナウイルスの感染拡大で治療薬の開発が急務になったのは、記憶に新しい。しかし、日本は海外に比べて、新薬開発に欠かせない「治験」に時間がかかってしまう。また、新薬承認のプロセスが複雑なこともあり、海外の製薬会社に後れを取る結果となった。

 なぜ後れが生じたのか? それは、海外では新薬を開発する場合、DCT(Decentralized Clinical Trial=分散型臨床試験)という方法が普及し始めてきたからである。

 DCTとは一般にはなじみのない言葉だが、簡単に説明すると、これまで病院で行っていた治験の説明や診察、検査などを、自宅にいながら受けられる仕組みのことである。DCTは、これからの医療に必要な治験方法といわれているが、日本では普及が遅れているのが現状だ。

 その理由を専門家に取材してみた。