中国経済がさえない。それでも債券投資家は、最悪の事態は回避できるはずだと考えている。世界第2位の規模を持つ中国経済は今年、輸出の減少や個人消費の鈍化、不動産セクターの長期不振が打撃となり、その足元が揺らいでいる。エコノミストらは成長率予想を下方修正した。中国企業株全般の動向を示すMSCI中国株指数は8月に弱気相場入りした。一方で、多くの中国企業が発行したドル建て債のスプレッドは比較的安定を保っている。つまり投資家は、これらの企業が債務を返済できなくなるほど中国経済が急減速することはないとみているようだ。英資産運用大手アバディーンのアジア・クレジット部門責任者であるヘンリー・ロー氏は「不動産危機からの波及は想定しておらず、全体的な景気減速でもそうなるとは考えていない」と述べた。「これがコンセンサスのようだ。これらの企業は財務状況がそこそこ良く、ファンダメンタルズ(基礎的諸条件)もしっかりしている」と述べた。