買い物が以前に比べ煩わしくなったと感じているなら、それは実際に煩わしいものになったからだろう。米国では従業員を減らす店舗が増え、商品が盗まれないよう陳列ケースに鍵をかけている店も多い。売り上げ鈍化や盗難増加で利益が圧迫された小売業者が対策を講じることで、店舗での買い物が今以上に不愉快なものになる可能性がある。店舗からその店の通販サイトに顧客が流れれば御の字だが、その場合でも利益率は下がる。それどころか、店員が多い競合他社やアマゾンなどの通販サイトに顧客を奪われる可能性すらある。その上、小売業の賃金は前年比伸び率が1980年代以降で最大となっている。米労働統計局によると、小売業の非管理職の平均時給は今年7月に20.54ドルに達し、2019年比で約24%上昇した。