ジャニーズの対応評価で重要な
優先事項と事件のサイズ

 本件については、既にさまざまな立場から、おびただしい数の評論や意見があるが、記者会見およびジャニーズ事務所の対応を評価する上で、筆者は以下の点を重要だと考える。

(1)被害者に対するフェアで十分なケア
(2)所属タレントが十分活躍できる条件整備
(3)藤島氏および事務所社員の利益

 何と言っても重要なのは先に挙げた二つだが、(3)を挙げることに違和感を持つ読者がいるかもしれない。直接の利害がない第三者(筆者を含む)としては、責任者の一人であり、資産家でもある藤島氏に処罰感情が集中しやすいところだが、一応は法治国家であるわが国にあって「世間」は処罰装置ではない。不祥事を起こしたとはいえ、会社が株主の利益を重視するのは当然だし、事務所で働くマネージャーたちを含めて社員の立場や今後も考える必要がある。

 さて、トラブルシューティングの前提条件として、事件の重大性を確認しておくことが重要だ。

 率直に言って、本件は、悪い意味でわが国にはまれなくらいスケールの大きな性加害犯罪だ。被害者の数、加害が続いた期間の長さ、さらに事務所の社長で絶対的な権限を持ったプロデューサーでもあったジャニー氏とタレントおよびタレント候補たちとの力関係、そして何よりも被害者たちが「子ども」と呼んでいい年齢で被害を受けていることを考えると、本件を超えるスケールの性犯罪は思いつかない。

 仮に想像するとして、一体どれくらいのことをすれば本件よりもスケールの大きな性犯罪となるのか。そして、それは現実に可能なのか。

 正直に言うと、筆者も含めてだが、現役で活躍するジャニーズ所属または出身のタレントたちに悪いイメージを重ねたくない気持ちがあって、本件の犯罪としての重大性に関心を集中させたくない心理が広くあったかもしれない。

 しかし、今後少しずつ事件に関わる事実が明らかになり、世間の注目を集め、それが「日本の世間」だけではなく、世界的な注目が現状よりもさらに大きくなることを想定しておく必要がある。