プーチン大統領の会議でのスピーチや、会談におけるやりとりがロシア大統領府のホームページに掲載された。元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏は「プーチン大統領の発言がこれだけ大量に、踏み込んだ部分まで公開されるのは、極めて異例」という。佐藤氏がその内容と公開した意図を解説する。(作家・元外務省主任分析官 佐藤 優、構成/石井謙一郎)
プーチンの会議でのスピーチや
各国首脳との個別の会談の内容が大量公開
第2回「ロシア・アフリカ首脳会議」と「ロシア・アフリカ経済人道フォーラム」が、7月27、28日にロシアのサンクトペテルブルクで開かれました。アフリカにある55の国・地域のうち49の国・地域が参加し、そのうち17カ国は首脳自身が現地を訪れています。
ロシア大統領府は、プーチン大統領の会議でのスピーチや、各国首脳との個別の会談におけるやりとりを、ホームページに載せています。プーチン大統領の発言がこれだけ大量に、しかもかなり踏み込んだ部分まで公開されるのは、極めて異例です。
日本のメディアは、参加した首脳が前回より減ったとして、〈食料供給をちらつかせて、アフリカの国々を味方に取り込もうとする。そんなロシアの思惑は不発に終わったようだ〉(8月1日の朝日新聞社説)と印象を語るばかりで、肝心の会議の中身は伝えません。
一方で英ロイター通信はこう報じています。〈「攻撃的ナショナリズム、ネオ・ナチズム、ネオ・ファシズム、アフロフォビア(アフリカ嫌悪症)、ルソフォビア(ロシア嫌悪症)」を含むあらゆる差別と不寛容に対抗することでも合意した〉(7月29日)。パッチワークのような報道だけに依拠しては、世界情勢の認識を間違えます。
私は公開されたスピーチや会談の全文を読み、翻訳もしました。詳細に開示された意図も考えながら、重要と思われる部分を紹介します。見えてくるのは、ロシアとアフリカ諸国が、さまざまな分野において結び付きを強めている姿です。