ロシアに経済制裁が効かない理由、ロシア経済の「打たれ強さ」に死角はあるか「ロシア・アフリカ経済人道フォーラム」で演説するロシアのプーチン大統領 Photo:Contributor/gettyimages

穀物輸出合意の離脱を表明
制裁の応酬に分が悪いロシアだが

 2022年2月24日にロシアがウクライナへの侵攻を始めて以降、西側諸国とロシアの間では経済制裁とそれへの報復措置が交わされてきた。

 とりわけ欧米や日本による対ロ制裁は主要工業品の輸出停止や石油などの輸入制限、金融制裁などかつてなく大規模なものだが、ここに至って、ロシアが黒海を経由したウクライナ産穀物の輸出を認めないという新たな攻勢をかける展開を見せている。

 そもそも制裁の応酬になると、西側諸国に対する貿易依存度が高いロシアに分が悪いとみられてきた。

 しかし最近のワグネル・プリコジン氏の反乱やウクライナの反転攻勢などでプーチン体制が揺らぎを見せるものの、経済制裁の打撃はそれほど顕著に表面化していない。

 ロシア政府の公表値による限り、22年の経済成長率は大幅な下振れ予想が前年比▼2.1%にとどまっている。

 制裁の効果がいまのところそれほど大きくないのはなぜなのか。

 制裁実施当初から西側諸国は、経済制裁に即効性はないが、長引くほどロシアの打撃が大きいとしてきたが、ウクライナ戦争が長期化の下、状況が変わってくるのかどうか。

 鍵は、ロシア経済の「打たれ強さ」にある。