頭をかかえるビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

「もうかりそうだから」という理由だけで
新規事業を始めてはいけない

「将来を支えるのは新規事業」という経営の格言があります。現事業を守っているだけは成長していけない。だから経営者は将来を支える新規事業を考えなければならないということなのですが、もうかるからという理由だけで新規事業に手を出すと大変なことになります。

小宮一慶・小宮コンサルタンツ代表小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 実例をお話ししましょう。ある地方の会社が「高級食パン」ブームに乗って、高級食パン事業に進出することを検討していました。私は「ブームには乗るべきではない」と止めたのですが、その会社はもうかると踏んで、結構な投資をしてしまったのです。

 その結果は説明しなくても分かると思います。高級食パンブームはタピオカ同様、あっという間にしぼんでしまい、ブームに乗ったその会社の新規事業は失敗に終わりました。

 自社の強みを生かせるわけでも、既存の顧客層を生かせるわけでも、自社の特徴を生かせるわけでもなく、ただもうかりそうという理由でブームに乗ると、会社の存続に関わる痛手を負うことになります。特に、中小企業であればなおさらです。

 ただ冒頭で書いたように、将来を支えるのは新規事業であり、現事業ではないという考え方も経営者には必要です。