イライラして眠れない、ストレスがたまりがちな人におすすめなのが、『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』(大嶋信頼著)だ。著者は著書累計55万部を突破している人気心理カウンセラーの大嶋信頼氏。最新作の本書では、心理学的なアプローチによって、不安や不満などの不快な感情を消し、読むだけで眠くなるメソッドを多数紹介。眠れるようになるだけでなく、ストレスを根本から消してくれる「不思議な催眠効果」がある1冊だ。「2ページ読んだだけで眠れた」「ストレスが消えた」「自己肯定感が高まった」などの感想が多数寄せられている。今回は発売を記念して、本書から特別に一部抜粋、再編集して紹介する。
「あの人は私のことをよく思っていないにちがいない」
ある女性は、「仕事ができる」と評判で、職場で一目置かれていました。
本人も「私は他の人よりも仕事のコツをつかむのが早いし、優秀だし、周りの人が気づかないような本質的なことにも気づいている」という自信がありました。
ところが、職場にある男性が転職してくると、急に居心地が悪くなってしまったのです。
その男性はとても優秀なのですが、女性が会議中にちょっと発言につまったりすると、すぐにあげ足をとるようなことを言ってきます。
最初のうちはあまり気にしていなかったのですが、男性から正論を言われるたびに自信がなくなっていきました。家に帰っても、その人のことが頭から離れません。
「あの人は私のことをよく思っていないにちがいない」
そう思えば思うほど、その男性に対する苦手意識がふくらんでいきました。
自信がなくなってくると、みんなの期待にちゃんと応えられていないような感じがして、「期待されていると思っていたのはかんちがいで、本当はみんなから馬鹿にされているのかもしれない」という不安が頭をよぎります。
「もっとちゃんと仕事すれば、みんなから認められるはず」と思い、家に帰っても仕事をして、さらにスキルアップのために夜遅くまで勉強までしていました。
でも、いい仕事をしようと努力すればするほど、なぜかその男性がますます女性に厳しいことばかり言うようになりました。
職場の人たちは誰も助け舟を出してくれず、「私はもうこの職場で必要とされていないのでは?」と絶望的な気持ちになります。
そんな日が続き、まったく眠れなくなっていたのです。
「どう思われているのか」と考えるのをやめるには?
そんな女性が、カウンセラーから「無意識さん」の存在を教えてもらいます。
まばたきや呼吸、そして睡眠など、私たちは意識が働いていないときには、いつも無意識がサポートしてくれている。人間関係は自分でなんとかしようとするよりも、「無意識」に任せるほうがいい。そんな話をカウンセラーから聞きました。
カウンセラーによると、不安がよぎったときなど考えすぎが止まらなくなったときに、「暗示」の言葉を頭の中で唱えると、意識の働きが止まって、無意識が動き出すそう。
その女性は夜寝る前に「あの人はどう思っているのか?」「バカにされているのでは」と考えるクセがありましたが、カウンセラーから教えてもらった暗示の言葉「私と波長の合う人は必ずいる」を唱えるようにすると、本当にグルグル思考がスッと止まります。
不安になるたびに、「私と波長の合う人は必ずいる」を唱えるようにすると、無意識さんの力が働き始めたのか、深い睡眠が取れるようになっていきました。
「あの人」は怖い人ではなかった
夜中まで仕事をするのをやめて、適切な時間に眠るようになると、「あれ? なんであんなにあの人のことを怖がっていたんだろう?」と男性に対する見方が変わってきます。
「あの人は私の足を引っ張る怖い人」と思っていたのが、「なんだ! ちょっと抜けていて天然なだけなんだ!」と思えて、怖くなくなります。
「今まであの人のことを敵だと思っていたけれど、あの人と私とは、そもそも見ている世界がちがうのかもしれない」
そう思えるようになると、相手の発言がいっさい気にならなくなってきます。
期待に応えるために一生懸命にならなくていい
それまで、「みんなの期待に応えなければいけない」といつも緊張していました。
でも、「みんな自分のことで精一杯で、私のことなんて全然気にしていない」ということもわかってきます。
みんなが「期待している」と言ってくれているのも、たいして深い意味はない。
「なんだ! そんなに期待に応えるために一生懸命にならなくていいんだ!」と肩の力が抜けていきます。
安心感の中で眠れるようになると、「みんなの期待に応えなければいけない」という目の前にあった灰色のプレッシャーの壁のようなものが取り去られて、「自分は自由に楽しく好きなように仕事をしていい!」という世界に変わっていきます。
女性は、今までよりも世界がクリアに見えるようになったことを実感しました。
眠れば眠るほど、無意識が働いて世界が広がっていく感じがします。
女性は「今見えている景色ではなく、もっと別の風景を見るために眠る」ことが楽しみになったのです。
無意識の力を使って、目の前に広がる無限の可能性が見えてきたとき、女性はそれまで灰色の世界に生きていて、何も見えていなかったことに気づきます。
眠りの中で無意識の力が引き出されたときに、目の前の灰色の壁はいつの間にか取り払われて、無意識が見せてくれる素晴らしい風景が広がっている。
そんなふうに世界の見え方が変わってくるのです。
(*本稿は『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』より一部抜粋、再編集したものです)