藤原:つまり、実際にやってみるしかない、もしくはやり続けるしかないってことになりますか。

:そうです。だからと言って、「やり続ければ、うまくいく」とも限らない。となると、「どうすれば成功するか?」の問い自体、意味が消えていくんです。

好きなことしかしちゃいけない

藤原:本書の最後のくだりも、鮮烈なメッセージです。「世界は自ら変えられる」。続けて、孫さんはこう書きます。「『ちょっとカッコつけすぎじゃない?』という声が聞こえてきそうです。しかし、ここにいたるまでにいろんな案を出し、じっくり考えてきた結果、この言葉がベストだと思っています。なぜか」。

:それは、「息子に一言だけ言い遺すとしたら?」と自問自答して出てきた言葉です。遺言ですね。もしも自分が明日死ぬとしたら、何を伝えるか。そう考えた時、この言葉の意味を本気で考えてほしいと思ったんです。だって、今の世の中、ちっともそんなふうに思えないじゃないですか。自分が選挙で一票投じたところで、国なんて変わらない。社会もそう、会社もそう、身の周り全部そう。でも、「何も変わらない」と思えば「何やっても無駄」となり、当たり障りなく粛々と暮らしていこうとしか思わなくなる。そんな社会を子どもたちに残すなんて、僕らはそれでいいんですか?ってことです。

藤原:その問いかけは大事ですね。