藤原:本書で「ライフロング・プレイグラウンド」と孫さんが名づけている場、大人も子どもも「テーマで集う」学び舎というイメージですよね。僕が今、オンラインで校長をしている寺子屋「朝礼だけの学校」もそれに近いかな。孫さんに、客員教授をやってもらいたいな(笑)。

 では、最後の質問です。本書の帯にある、「好きなことだけしてちゃダメですか?」。もしもこの質問を息子さんにされたら、どう答えますか?

「好きなことだけしてちゃダメ?」と子どもに聞かれたら何と答えるか【孫泰蔵×藤原和博】『学校がウソくさい――新時代の教育改造ルール』
藤原 和博(著)
定価1,001円
(朝日新聞出版)

:一言で言うなら、「好きなことしかやっちゃダメ!」と言いたいです。

藤原:なるほど!

:あえて強く言いたい。なぜなら、好きなこと以外をしたって、まったく通用しなくなる世の中になるからです、これからは。ならば、好きなことを徹底的にやったほうがいいよ、そのほうが逆にうまくいくよ、とアドバイスしたいですね。

藤原:これからはもう、自分の好きなことで突出していくほうが、AIを含めた社会システムにより相応しい、といった意味もありますね。

:はい、まさにその意味で申し上げております。

(構成/大場葉子)

 

孫泰蔵(そん・たいぞう)
1972年生まれ。連続起業家。96年、大学在学中に起業して以来、一貫してインターネット関連のテック・スタートアップの立ち上げに従事。2009年、スタートアップ・アクセラレーターである「MOVIDA JAPAN」を創業。14年、「Mistletoe」をスタートさせ、後進起業家の育成とエコシステムの発展に尽力。16年、子どもに創造的な学びの環境を提供するグローバル・コミュニティ「VIVITA」を創業。著書に『冒険の書――AI時代のアンラーニング』(日経BP)。
藤原和博(ふじはら・かずひろ)
1955年生まれ。教育改革実践家。78年、東京大学経済学部卒業後、現在の株式会社リクルート入社。96年、同社の初代フェロー。2003~08年、杉並区立和田中学校校長。16~18年、奈良市立一条高等学校校長。21年、オンライン寺子屋「朝礼だけの学校」を開校。著書に『60歳からの教科書――お金・家族・死のルール』『学校がウソくさい――新時代の教育改造ルール』(朝日新書)など多数。ちくま文庫から「人生の教科書」コレクションを刊行。

AERA dot.より転載