中国は電気自動車(EV)競争で先行している。欧州連合(EU)当局が中国EVメーカーに対する補助金を巡って調査を開始したことがそれを裏付けている。だが、関税を導入すれば欧州自動車メーカーが中国勢を追い抜けるわけではない。EUは、中国政府が欧州市場に参入する国内EVメーカーに対し、補助金を通じて不当な支援を行ったかどうか調査し始めた。これは驚くには当たらない。自動車は欧州にとって重要な産業だが、中国がここ数年急速に世界で存在感を高めている。またEUの動きは、EVやバッテリーなどのハイテク分野で特に顕著な、世界的な保護主義の台頭とも符合する。バーンスタインによると、欧州におけるバッテリーEV新車販売台数の約15%を中国からの輸入が占めている。ただその全てが中国メーカーによるものではない。上海工場から出荷された米テスラのEVが、中国からの輸入の30%を占めているという。独BMWやメルセデスといった欧州勢も、中国でEVを生産して自国で販売している。