「毎日何時間寝るべき」という考え方をやめる
いったんサイクル単位で睡眠を取ることに慣れてしまえば、試合前のオリンピック選手の調整法を真似することも可能だ。
特別な状況に合わせて、睡眠サイクルを短期間だけ変更しよう。マラソン大会に出場する準備をしている人は、仕事の前後にトレーニングを行うことになるだろうから、実践するために夜の睡眠サイクルを落としてみる。プライベートにも影響が出そうな大きなプロジェクトに関わる人は、その期間だけ4サイクルに落とす。どうしてもがんばる必要があるときは、短期間だけ3サイクルに落とせないかを検討する。
ここであなたはつぶやくかもしれない。
「ちょっと待って。1晩3サイクルや4サイクルなんて無理!」と。
しかし、それはまだあなたが、睡眠を「1回何時間」というくくりで考えているからだ。回復のプロセスは24時間であり、そのなかに夜の少ないサイクルを補うチャンスが幾度もおとずれる。
また、次の章から紹介していくように、ベッドに入るまでの時間の使い方や、起きた後の時間の使い方も、非常に重要になってくる。睡眠は、夜に費やす時間だけでは終わらない。はるかに多くの要素がからんでくるのだ。
眠りのサイクルを最大限に生かす「睡眠法」7選
その1:起きる時間を決め、それを守る。起床時刻を一定にすることが、私のアプローチを根底から支える大切なポイントだ。パートナーと一緒に寝ている人は、相手にも同じことを勧めよう。同じ時間に起きるのが理想的だ。
その2:睡眠を「時間単位」ではなく「90分サイクル」で考える。
その3:就寝時刻は柔軟に考えてよい。ただし、起床時刻から90分単位でさかのぼった時刻に設定する。
その4:睡眠を長い時間の視点でとらえることで、プレッシャーをなくそう。1日ぐらい安眠できなくても、死ぬことはない。1週間の合計のサイクルで考える。
その5:理想のサイクル数よりも3日連続で少なくならないようにする。
その6:自分に必要な睡眠量を知ろう。睡眠は、単純に「質か量か」の問題ではない。平均的な人は、1週間に35サイクル(1日7時間半)が理想的。28サイクルから30サイクルあれば、まあ大丈夫。計画的に減らす時期以外で、これより少ない場合は、身体に負担がかかっているかもしれないと意識すること。
その7:理想の睡眠サイクルを1週間に4回以上取れるように心がける。
(本原稿は『世界最高のスリープコーチが教える究極の睡眠術』より抜粋して掲載しています)