トヨタ 史上最強#14Photo:Bloomberg/gettyimages

三河の田舎企業から世界一の自動車メーカーへと成長したトヨタ自動車。近年、そのトヨタグループに旧三井財閥の“御三家”企業が接近している。『史上最強 トヨタ』の#14では、豊田家と三井家との間にある浅からぬ因縁を明かすと共に、現在、三井不動産、三井住友フィナンシャルグループ、三井物産の御三家が「トヨタ詣で」を始めた思惑に迫る。(ダイヤモンド編集部編集長 浅島亮子)

三井不動産、SMBC、物産がトヨタ詣で
豊田家と三井グループの因縁

 豊田家と三井家には浅からぬ縁がある。

 豊田章男・トヨタ自動車会長の母であり、父、章一郎氏の妻である博子氏は旧三井財閥の子孫だ。由緒正しき三井十一家に名を連ねる「三井伊皿子(いさらご)家」当主、三井高長氏(元三井物産取締役)の三女である。また、章男氏の妻、裕子氏は三井物産副社長だった田渕守氏の長女であり、やはり三井グループに縁がある人物だ。

 350年の歴史を持つ三井家に比べれば、1937年に豊田自動織機の自動車部門として産声を上げたトヨタは、三河の成り上がり企業にすぎなかった。三井との姻戚関係を深めることは、国内政財界で豊田家が名門ファミリーとして認識されるためにも、重要なステップだったに違いない。

 そして、いまやトヨタは押しも押されもせぬ世界一の自動車メーカーに成長した。それだけに、トヨタの経済圏は巨大だ。

 次ページでは、トヨタに三菱、三井、住友、日立製作所、ソフトバンクグループ、NTTを加えた「7大企業グループ」の経済圏を数値化したデータを公開する。トヨタグループの実力はいかほどなのか。

 近年、豊田家が三井家の血統に頼った歴史から一転、今度は三井グループがトヨタグループに食指を動かしている。三井不動産、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)、三井物産の“御三家”企業が「トヨタ詣で」を始めた思惑についても明かしていこう。