かつては115キロあった著者の朽木誠一郎さん=2015年5月(提供)
食事に気を使う余裕がないとき、つい助けを求めてしまう健康食品やサプリメント。しかしその商品は、本当に健康に効果があるのか――。この疑問について、医療記者の朽木誠一郎氏の著書『健康診断で「運動してますか?」と言われたら最初に読む本 1日3秒から始める、挫折しない20日間プログラム』(KADOKAWA)より一部抜粋・編集してお送りします。
健康食品では
健康になれません
もしあなたが「健康になろうとして」手を出そうとしているのが、いわゆる健康食品やサプリメントなら、そのほとんどはお金のムダです。
もちろん、食事管理アプリで「不足している」とされた栄養素を、補う(まさにサプリメントですね)目的であれば、それは効果的です。
でも、それ以外、例えば「やせ」をうたうような健康食品は、絶対に効果がありません。なぜこう断言できるかというと、本当に「やせ」るものであれば、それは医薬品になっているから。健康食品が健康食品である以上、それは効果がないのです。
健康食品には「病気を治したり、防いだりする効果はない」ということを、この機会にぜひ、覚えていただければと思います。「健康」食品というネーミングから「なんとなく健康に良さそう」と感じてしまう人もいるはず。しかし、それこそがメーカーの思惑どおりです。これはあくまで「良さそう」なだけで、上手なコピーライティングなのです。
健康食品はあくまでも「食品」ですから、そんな効果はありません。肥満症やそれに関連する生活習慣病などは病気なので、健康食品(サプリを含む)でそれが解消されることもありません。「おまじない」程度と言っていいでしょう。
そもそも、「健康食品」というのは、定義自体があいまいなものです。これについてはインチキ商品から国民を守る消費者庁が、何度も繰り返し、注意喚起をしています。例えば2017年10月に発行した『健康食品 5つの問題』というリーフレットの中では“錠剤・カプセル状の製品は、薬のように見えますが、「食品」であり、病気を治す効果、防ぐ効果はありません”と明言されています。
ではなぜ、メーカーが健康食品を製造・販売するかと言うと、ヘルスケアビジネスにおいて、健康食品は“おいしい”のです。もちろん、味がというわけではありません。ただの食品であるがゆえに開発コストが低く、原価も安く、それでいて効果があるように見えることでいい値段がつけられる、すなわち利幅が大きいということ。これには大手の食品・飲料メーカーも乗り出していて、有名企業だからといって安心はできません。
私が健康食品を悪質だと思う理由は、私たちの時間や気力のなさにつけ込んでいるからです。仕事や子育てで忙しいとき、運動や食事といった本質的な改善に取り組む余裕はありません。そんなとき、食べる・飲むだけで健康になれそうな健康食品は、とても魅力的に映ります。でも、健康食品で健康になることはないので、まやかしです。本来であれば別に回すべきコストを、ムダに払わせるという意味でも、真っ先に止めるべき習慣です。
トクホや機能性表示食品は
どうなの?
2023年8月時点の朽木誠一郎さん。115キロから75キロへ、40キロものダイエットを成功させた過程は、2020年に刊行した『医療記者のダイエット 最新科学を武器に40キロやせた』に詳しい(提供)
読者の中には「トクホ」や「機能性表示食品」は病気への効果をうたっているのでは、と思った人もいるはずです。
実際、一般に健康食品と認識されているものの中には、「機能性表示食品」や「特定保健用食品(トクホ)」が含まれています。これらは国が定める基準を満たし、効果や効能をうたっても問題のない健康食品です。しかし、機能性表示食品やトクホもまた、いくつもの問題を抱えています。
2017年11月7日、ある機能性表示食品を販売していた、太田胃散やスギ薬局など大手メーカーを含む16社に対し、消費者庁は景品表示法違反として、行政処分を下しました。景品表示法というのは、簡単に言えば、ウソや大げさな広告を取り締まるものです。この健康食品は「飲むだけで、誰でも簡単に内臓脂肪や皮下脂肪が減り、お腹周りがやせる効果が得られる」と宣伝していました。これがウソや大げさな広告だったのです。
機能性表示食品は国が定めた制度。しかし、「安全性」や「機能性」「効果」は企業の自主的なチェックに委ねられています。つまり、商品を売りたい企業が、売りたい商品に効果があるかどうかをチェックする、ということで、不正が起きやすい構造です。







