親子関係の問題は、家庭という閉鎖的な空間で生じるものだからこそ、解決が難しいといえます。
外部の目には一見、理想的な家族に見えていても、実はその中にいる当事者にとっては地獄に等しい親子関係であるケースも多々あります。
自分にとって「害になる親」、つまり毒親からは逃げるしかない、とは言われますが、実際に毒親との絶縁は簡単なことではありません。絶縁してもなお追いかけてくる毒親、周囲からの残酷な言葉……ここでは実際に毒親と絶縁した経験を持つ著者が、同じ悩みを持つ人々へ苦しみから抜け出す糸口を綴った書籍『幸せになるには親を捨てるしかなかった』から抜粋し、再構成して紹介します。
毒になる人が
自分の非を認めることはない
毒になる人たちは、自らを分析して見つめ直そうなどと思いませんし、それゆえ人に共感したり、自分以外の誰かのものの見方を信用したりもしません。自分に直すべき点があるなどとは欠片も思っていないのです。
共感することを知らない人間に育てられたあなたは、友人や恋人にも似たような、共感能力の低い人を選びがちです。それもまた、あなたが立ち直るために通る道です。
ですが、どんな人間関係を築こうと、その痛みから少しでも学べることがあるのなら無駄ではないのだということを忘れないでください。間違いを犯したら、そこから共感性について学び、あなたの成長に役立てればいいのです。
自分を守ってくれる
「共感の素養」とは?
過去の失望から学び、自分の人生で関わる人と拒絶する人を決められるのが、「共感の素養」がある人です。
「共感の素養がある」とは、人の言葉よりも行動を見るということです。
人を支配する人は言葉の魔術師です。
彼らの言葉は魅力的で、色々なことを約束してくれるように聞こえますが、実際に行動に移されることはほとんどありません。言葉巧みにあなたの思考を捻じ曲げるだけです。
あなたは自分の望む現実ではなく、本当の現実を見つめなければなりません。
現実は偽りの希望をなぎ払い、可能性という名の沼にはまるのを防いでくれます。
正しく共感できるようになれば、自分を守るためにむやみに人を否定したり、正当化したり、媚びたりしなくなり、現状に甘んじずに勇気を出せるようになります。
成熟した視点を持ち、気品ある物腰で、客観性と洞察力を持って意識的な行動がとれるようになるでしょう。
正しいか否かはともかく、感受性の高い人はセラピーを受けるべきだというのが私の持論です。
そういった人たちは過酷な人生を歩みがちだからです。
彼らは他の人よりも色々なものが目に入り、色々なことを感じ、色々なことを知っています。
ですが、傷つくということは、癒える可能性も秘めています。
無防備な心を守るには、あなた自身の直感と知識を信じる必要があります。
セラピーは、恐怖や誤った認識のせいで、悪意ある人への警戒を緩めてしまうのを防ぐ手助けをしてくれるでしょう。
どんな支配も決して許さない見識と洞察力を授けてくれます。
誰かが勝手に真実を決めつけたり、あなたを操ってあなたの奥深くに眠る真実から遠ざけようとしたりするのを決して許してはいけません。
共感の素養を身につけるには、次のことを心がけましょう。