賃貸の家賃12万円が、毎月6万3000円のローンに
それなのに暮らしがラクにならないのはなぜ?
その後物件を探しましたが、なかなか良い物件がありません。そんな中、たまたま「ペットOK」の分譲マンションを見かけ、気軽にローンの試算をしてもらったそうです。3000万円の借り入れを固定金利(変動金利に不安)35年ローンで返済すると、毎月の返済額は6万3000円ほど、ボーナス時は20万円ほどの加算で購入できる試算です。試しに住宅ローンの事前審査を申し込むと通ってしまいました。金融機関に信用があるようだし、購入すると自分の資産になる、困ったり必要がなくなったら、売ってしまえばお金になるし、などと思い、軽い気持ちで購入しました。
ところが、実際にローン返済を始めると、どうも家計がうまくいきません。毎月の住居費負担は減っているはずなのに、楽になったと思えないのです。理由は、ボーナス払いがあるために、今までのようにボーナスを使えなくなったから。その分の支出が毎月の支出に回って、結果的に月の支出は増加。また、ボーナスから貯金をすることもできません。固定資産税の支払いも負担になっています。
また、住宅ローンを組むにあたり、年々昇給して金銭的には楽になるという期待もあったようです。しかし最近の物価高や円安の影響を受け、ベースアップはなし。それどころか、生活の仕方を変えていないのに支出が増え、会社の業績によりボーナスは昨年より減ってしまいました。問題ないはずだった住宅ローンが、重くのしかかってくるようになってしまったのです。
状況を打開するために、一番いい手は
「マンションを手放す」なのだが……
物価高や円安、ボーナス減といった現実の厳しさは予想できなかったとしても、なぜ、こんな条件で話を進めてしまったのか……。個人的な思いではありますが、FPとして、本人にも、周囲の人たちに対しても憤りを感じました。
この状況を改善するには、支出をきつく絞って毎月黒字にするよう努力するか、いっそマンションを手放すかという方法が考えられます。支出を絞るにしても限度があります。できればマンションを手放した方がよいのですが、本人は「いま手放すと債務が残る」と嫌がっています。そう言っている場合ではないのですが、納得するには時間が必要なようです。
まずは手近なところから、例えばスマホを大手キャリアから格安SIMに変える、外食を減らして食費を少し浮かせるなどの改善策に取り組み、自分にとって必要な支出とそうではない支出を見極めていくことを覚えてほしいのですが、本人はなかなか動けないでいます。今の便利さや生活の満足を手放すことに躊躇しているようです。そもそも面倒だという気持ちもあるのでしょう。でも、やらなければ何も変わりません。
「ネコまっしぐら!」もほどほどにしないと、残念ながらこのままでは、時間の問題で本人は破綻へまっしぐらです。彼もまた人間という動物ですが、ここは冷静になって、今後の対策を考えてほしいと思っています。