「売国奴」「国賊」…ロシア渡航の鈴木宗男議員を袋叩きする日本人の平和ボケPhoto:JIJI

「政治家のくせに政府を介さずに外交」は悪いのか?

「ロシアのスパイが祖国に帰ったぞ!」
「こんな売国奴はもう二度と戻ってこなくていい」
「日本が税金で応援をしている戦争の相手国にすり寄るなど国賊ものだ」

 ロシアに行って、ルデンコ外務次官と会談をした鈴木宗男・参議院議員に対して、愛国心あふれる人々の怒りが爆発している。所属政党「日本維新の会」への届出をせず海外渡航をしたことで処分が検討されているというニュースが報じられて、火がついた形だ。

 怒れる人々の意見を見ていると、鈴木氏が「国賊」と叩かれている理由がだいたい以下に集約される。

「政治家のくせに政府の渡航中止勧告を無視して、政府を介さずに外交をしているところが許せない」

 ただ、この主張はかなりユニークだ。国際社会では、戦争終結のためならば、あらゆる対話チャンネルを活用するのは「常識」だからだ。市民の犠牲をなくすため、戦争当事国にあらゆる方向から対話をする。そこでは、さまざまな人間が政府を介さずに水面下で接触・対話をするということは珍しくないのだ。

 そういう意味でも、筆者としては、鈴木氏の「個人外交」は悪くないと思っている。また、国会議員がけしからんというが、国会議員だからこそ、ロシアのような国に行くべきだとも考えている。なぜか。