ドラマ「VIVANT」の裏に極秘任務!?最終回の役所広司のセリフに漂うきな臭さを“考察”ノゴーン・ベキを演じた役所広司 Photo:Shawn Goldberg/gettyimages

『VIVANT』の台詞にきな臭さ
自衛隊入隊者を増やすドラマ?

 ネットやSNSでさまざまな「考察」で大盛り上がりしたTBSの日曜劇場『VIVANT』が最終回を迎えた。

 これまでのさまざまな伏線が見事に回収された一方で、また新たな「謎」を示唆するようなシーンもあって、まだまだ考察を楽しんでいる人がいる。かく言う筆者もそのひとりで、最終回にあった不可解なセリフが気になって、ずっと考察を続けている。

 そのセリフとは、役所広司さん演じるテロ組織の指導者、ノゴーン・ベキが私腹を肥やすバルカ共和国(劇中の舞台となる架空の国)の悪徳政治家に平和を諭して、改心を促していた時のこんな発言だ。

「日本では古くからありとあらゆるものに神が宿っていると考えられてきた。神はひとつではないという考えがあることで相手の宗教にも理解を示し、違いを超えて結婚もする。日本には考えの違う相手を尊重する美徳がある」

 このあからさまな「日本スゴイ」演説を聞いて筆者が感じたのは、『VIVANT』というドラマは実は日本人の愛国心を刺激して、自衛隊入隊者を増やすことを目的としたプロパガンダ・ドラマなのではないか、という疑念である。

「おいおい、ドラマを見すぎて現実とフィクションの区別がつかなくなったのか」と心配をする人も多いだろうが、世界ではドラマや映画という「エンターテイメント」を利用して国威発揚を掲げるのは当たり前だ。

「トップガン」「ミッション・インポッシブル」もただトム・クルーズのかっこ良さをアピールするだけはなく、世界にアメリカの「正義」と「強さ」を発信するという目的がある。だから、軍や政府も撮影に協力する。実際に作品がヒットすれば軍隊や政府機関のリクルートにも効果がある。

 実は、このようなエンタメを用いたプロパガンダの近年のトレンドは、「政府色を極力消す」ということにある。