親子関係の問題は、家庭という閉鎖的な空間で生じるものだからこそ、解決が難しいといえます。
外部の目には一見、理想的な家族に見えていても、実はその中にいる当事者にとっては地獄に等しい親子関係であるケースも多々あります。
自分にとって「害になる親」、つまり毒親からは逃げるしかない、とは言われますが、実際に毒親との絶縁は簡単なことではありません。絶縁してもなお追いかけてくる毒親、周囲からの残酷な言葉……ここでは実際に毒親と絶縁した経験を持つ著者が、同じ悩みを持つ人々へ苦しみから抜け出す糸口を綴った書籍『幸せになるには親を捨てるしかなかった』(シェリー・キャンベル著 ダイヤモンド社)から抜粋し、再構成して紹介します。
ときには毒になる
アドバイスもある
機能不全家族の中で育ったあなたは、タイミングを見計らい、正しい言葉と口調を選んでわかりやすく虐待の事実と証拠を提示しさえすれば、家族と理解し合い心を通わせることができると信じて、とてつもなく長い間、奮闘し続けてきました。
ですが、どれほど努力を重ねようと、それでうまくいくことはありません。
あなたを愛する人や心理学の専門家は、意を決して家族の虐待から逃れることは、セルフケアのための勇気ある行動だと言うでしょう。
ただし、セラピストの中にも、毒家族の支配的なやり口や、捨てられた経験や過去のトラウマを通して虐待者から離れられなくなる複雑な心境を知らないがゆえに、軽率にあなたの経験を軽んじる人がいる、ということを頭の片隅に置いておいてください。
誤って、虐待そのものに対してではなく、虐待に対するあなたの反応にのみ言及するセラピストも大勢います。
専門家とはいえ、家族の定義を否定するようなことを言うのは怖いのです。
しかも、家族がセラピストの前では善人の仮面を被るということは、これまでの経験からよくわかっていることでしょう。
悲しいことに、このようにつくろわれた一面を見て、セラピストが騙されてしまうことも少なくありません。
ですから、セラピーは必ずあなた1人で受け、あなた自身が改善できる点を探していくことが重要です。そうすれば、確実にあなた自身のことに集中できます。
家族が支配的で、彼ら自身の非を認めていない以上、家族とセラピーを受けるのは賢明とは言えません。
彼らは、問題の原因はあなたにあるという前提の場合のみ、セラピーを受け入れるからです。
もし、家族のほうが問題を指摘され、その責任を問われようものなら、彼らは手のひらを返したように攻撃的になり、すぐさま治療を中断させます。
人間関係を成功に導く鍵は、コミュニケーションをとることではなく相手を理解することです。
相手が頑なに狭い視野に固執するなら、どれほどコミュニケーションをとろうと意味はありません。
相談相手が専門家なら特に、手のほどこしようのない家庭問題を、どうにかしようと頑張るのはやめるべき、というアドバイスには耳を傾けましょう。
言葉を変え、口調を変え、説明の仕方を変えれば、きっといつか家族に理解してもらえる、受け入れてもらえると思っているのなら、今すぐその希望を捨ててください。
機能不全家族にうまくなじむために、完璧な人間になるよう諭(さと)すのは、あなたを健全とは真逆のほうへ誘導する行為です。
そのようなアドバイスは破滅しかもたらしません。あなたに解毒剤を処方するどころか、さらに毒を盛っているだけです。
唯一の解毒方法は、あなたが自分自身をいたわり、幸福を追求し、あなたを傷つけるものを排除することです。それはあなたが持つ正当な権利なのです。
セルフケアの
具体的なやり方とは
次に、セルフケアが上達する方法をいくつか紹介します。