新型コロナウイルス禍がかなりの落ち着きを見せ、社会は少しずつ元通りになりつつある。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった問題はいまだに解消されていない。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はテルモ、シスメックスの「医療機器」業界2社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
テルモ、シスメックスが
前年同期比で増収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の医療機器業界2社。対象期間は2023年2~6月期の四半期(2社とも23年4〜6月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・テルモ
増収率:9.1%(四半期の売上収益2153億円)
・シスメックス
増収率:10.8%(四半期の売上高954億円)
※なお、オリンパスは23年3月期第2四半期より科学事業を非継続事業に分類しており、同じ基準で売上高を比較できないため、今回は非掲載とする。
医療機器業界の2社が前年同期比で増収となり、中でもシスメックスは利益面でも営業利益・純利益のいずれも増益であり、好調だ。新型コロナウイルスの感染が落ち着き始めたことにより、事業にマイナス影響が出ている面もあるが、なぜ好調なのか。
一方、テルモの営業利益は減益となって、両社の業績には差が出ている。
次ページでは、2社の利益面についても詳しく見ていく。