「ゼルダ」のゲームソフトPhoto:Bloomberg/gettyimages

新型コロナウイルス禍がかなりの落ち着きを見せ、社会は少しずつ元通りになりつつある。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった問題はいまだに解消されていない。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は任天堂、ネクソンなどの「ゲーム」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

「ゼルダの伝説」効果で
任天堂の決算が好調に

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下のゲーム業界5社。対象期間は2023年2~6月期の四半期(5社の対象期間はいずれも23年4~6月期)としている。

 各社の増収率は、以下の通りだった。

・任天堂
 増収率:50.0%(四半期の売上高4613億円)
・ネクソン
 増収率:12.3%(四半期の売上収益944億円)
・バンダイナムコホールディングス
 増収率:4.0%(四半期の売上高2248億円)
・カプコン
 増収率:73.8%(四半期の売上高439億円)
・スクウェア・エニックス・ホールディングス
 増収率:14.4%(四半期の売上高857億円)

  ゲーム業界5社は、全社が増収という結果だった。

 中でも、新タイトル『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』(23年5月12日発売)が大ヒットした任天堂は前年同期から5割の大幅増収となった。

 カプコンでは『ストリートファイター6』(23年6月2日発売)などの新タイトルが好調に推移し、任天堂を上回る約7割の増収を果たした。

 他の3社も新作の投入などによって増収となったが、実は利益面では明暗が大きく分かれている。

 任天堂は利益面も好調で、営業利益が前年同期比で約82%増と大幅に伸びた。カプコンに至っては、営業利益が同約99%増と飛躍的に拡大した。

 一方、人気シリーズの新作『ファイナルファンタジー16』(23年6月22日発売)を発売したスクウェア・エニックス・ホールディングス(スクエニHD)は、営業利益が同約79%減と大きく落ち込んだ。

 今回扱う決算期である23年4~6月期に「FF16」の実績が8日間しか含まれていないことは考慮すべきだが、なぜ競合他社と同じく大型タイトルを投入したスクエニHDは大幅減益となったのか。

 次ページでは、各社の増収率の推移を紹介するとともに、任天堂、カプコン、スクエニHDの四半期業績を詳しく解説する。

 また、最近は苦戦が続いていた任天堂の家庭用ゲーム機「Nintendo Switch(以下Switch)」シリーズの、第1四半期における売れ行きについても明らかにする。