有価証券への
投資状況は?
2023年3月末現在の数値からうかがえる信用組合の動向について、第5回は、視点を有価証券投資に向けたい。全国145の信用組合のうち、横浜華銀・名古屋青果物・滋賀県民・呉市職員信用組合を除いた141信用組合は、インターネットのホームページ上にディスクロージャー誌を開示している。この掲載情報のうち、利息・配当やキャピタルゲイン目的で投資する有価証券を抽出し、市場における時価を貸借対照表に計上する「その他有価証券」に着目した。
その他有価証券は、内訳が「株式」「債券」「その他」の3種に区分されている。3種それぞれについて、「年度末の時価が取得時の価格を上回る=含み益のある」有価証券の差益と、それとは逆に、「取得時の価格を下回る=含み損のある」有価証券に分けて記載される形だ。
これらの内訳と合計について、141信用組合を合算した[図表1]。
収支は、「株式」の含み益を国債や社債などの「債券」と外国証券(外債)や投資信託などの「その他」が吹き飛ばし、信用組合全体として480億1100万円の含み損を抱える構造だ。単純計算では、1信用組合当たり3億4000万円の負担となっている。