イオン、“値上げしないサイゼリヤ”を超える「逆張り・値下げ戦略」の行方Photo:Diamond

新型コロナウイルス禍が過去のものとなりつつあるが、多くの業界においてコロナ前への完全な逆戻りは起きず、新たな事業環境に突入している。そこで上場約50社、15業界の月次業績データをつぶさに見ると、企業によって業績の明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移から、6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「【月次版】業界天気図」。今回は、2023年9月度の総合スーパー編だ。

値上げラッシュ下でイオンが
「逆張り・値下げ戦略」断行!

 総合スーパーの主要3社が発表した23年9月度の月次業績データは、以下の結果となった。

◯イオンリテール(イオン)の既存店売上高
 9月度:前年同月比102.2%(2.2%増)

◯イトーヨーカ堂(セブン&アイホールディングス〈HD〉)の既存店売上高
 9月度:同98.7%(1.3%減)

◯ユニー(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス〈HD〉)の既存店売上高
 9月度:同97.6%(2.4%減)

 原材料の高騰や歴史的な円安を背景に、日用品の値上げラッシュが止まらない。総合スーパーが扱う品物も例外ではなく、洗剤や入浴剤、文房具、ティッシュペーパーなど、食品以外の生活必需品にまで影響が及んでいる。

 各社の状況を分析するうちに、実は今回唯一、前年実績を上回ったイオンが行う「逆張り・値下げ戦略」が明らかになった。