ヤマト運輸が業務委託する一部配達員らが加入する労働組合「建交労軽貨物ユニオン」が10月16日、ヤマトが団体交渉に応じていないと明かしました。ヤマト運輸は「クロネコDM便」や薄型荷物の「ネコポス」事業について、日本郵便とそれぞれ新サービスを立ち上げ、配送を日本郵便に委託します。これに伴い、各サービスに従事していた業務委託の配達員およそ3万人に2024年での契約解除を通知しています。ヤマトにとって、このDM便のサービスの質や業務委託の配達員の待遇は、かねて悩みの種の一つでした。そこで、今回の「3万人契約解除」の前兆だったともいえる事態を報じた、19年1月23日公開の記事を再掲します。※全ての内容は記事初出時のまま(ダイヤモンド編集部)
次々と明るみになる不祥事の背景にはいったい何があるのか――。
ヤマト運輸は1月8日、岐阜県内の営業所において、「クロネコDM便」(企業が発送するダイレクトメールなど)が約2万3000冊、未配達だったと発表した。この営業所の委託配達員(ヤマトではクロネコメイトという。以下、メイト)が2004年から18年の間に請け負ったDMの一部を、配達せず自宅にため込んでいたことが、DMを発注した荷主からの連絡で判明したのだ。ヤマトは「該当する荷主にお詫びし、全社一丸となって再発防止策に取り組む」という。
だが、こうした話は初めてではない。過去にも同様にDMの大規模未配達が明らかになっている。
例えば一昨年は青森県で、約1万5000冊の未配達があった。12年~17年の間、配達員がDMを自宅に持ち帰っていたのがアパート隣人の通報により発覚したのだ。この件で営業所や支店の幹部4人が、配達員に対する稼働状況の確認や定期的指導を怠っていた責任で減給の処分を受けている。
どうして不祥事は繰り返されるのか。首都圏のある営業所で長年働くクロネコメイトは、「配達員の怠慢だけが原因とは思えない。メイト業務の仕組みや給料、働き方全般の問題が根底にある」と語気を強める。